[メイン] 語り手 :  

[メイン] 語り手 : ここは数多くの動物が住む町。

[メイン] 語り手 : 人も動物ものんびりと暮らしている。

[メイン] 語り手 : 8月末、暑さが峠を越えて後退し始めるころ。

[メイン] 語り手 : それでもまだ暑く、あなた達は涼を求めて朝から森へと集まっていた。

[メイン] 語り手 : 空気はまだ、夏の緑の匂いがした。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 語り手 : 場面『変化の依頼』 場所:森の木陰 時間:午前

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : 獣の体毛は、熱を遮断するために存在する。
そのために、太陽の光が当たっても、しばらくは動けるようになっているのだが。

[メイン] ぱん : ……それはそれとして、非常に暑かった。
体毛で遮断できないほどに、動物達は疲弊していた。

[メイン] ぱん : そうして、とある動物は森へと入っていった。
真っ白な犬が、てくてくと。

[メイン] ぱん : 耳をぴょこりと、そして鼻をすんすん。

[メイン] ぱん : 森の独特な匂いだ。
土、虫、そして、他の動物の匂い。

[メイン] ぱん : 木陰の涼しさが、思考を冴えさせていく。

[メイン] ぱん : そうして歩いていると……。

[メイン] ぱん : 「…………!」
とある動物と出会った。

[メイン] : ぱんが嗅ぎとったそよ匂いは────野生の獣のもの。

[メイン] : 動物の中でも、人と共存するもの、人に飼われるもの、野生として人に関わらないもの。
いくらか存在する。

[メイン] : この匂いは、人の匂いがほぼと言っていいほどしなかった。

[メイン] 船見 結衣 : すっ、と。
ぱんの前に、茶髪の猫が現れて。

[メイン] ぱん : 一匹の猫と、そして犬が目を合わせ。

[メイン] ぱん : そこらでよく見るような光景であるが─────。

[メイン] ぱん : この物語は、"そうではない"。

[メイン] ぱん : 「こんにちは、今日も暑いですね」

[メイン] 船見 結衣 : 少しぼさっとした、丁寧とは言えない毛繕いの結果の毛並み。
こんな暑さの中無表情そうな顔で、ぱんに目をやり。

[メイン] ぱん : ─────一匹の白い犬は、猫に愛想良く話しかける。
ぱたぱたと、尻尾を振りながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ん」

[メイン] ぱん : 人語を話す犬。人語を話す猫。
─────ふしぎな世界が、広がる。

[メイン] 船見 結衣 : 「……そうだな、今日は中々の暑さだ
動物たちも、みんなへばってる」

[メイン] ぱん : 「あはは、全くですよ、ボクも逃げるようにここに来たものですから」

[メイン] 船見 結衣 : ちらりと目を向けて、その目を細める。
相手が人の言葉を話す獣────"へんげ"だったからだ。

[メイン] ぱん : 「それにしても森は、とっても涼しいですね
 家の中とは違った涼しさで、心地が良いです」
ちゃりちゃりと、首輪に付けられた「ぱん」という札が揺れながら。

[メイン] ぱん : 白い犬は、緑一面の木々を見渡しては、尻尾を振るのを止めなかった。

[メイン] 船見 結衣 : 「へえ……飼い犬なんだ、あなた
 どう?こっちの方も、結構涼しいでしょ」

[メイン] 船見 結衣 : ちらり、その札に目を見つつ。
”人間”にいくばくかの興味があるのか、また目を細めつつ。

[メイン] ぱん : そうですね、と。へっ、へっ、へっ、とベロを出しながら頷く。

[メイン] 船見 結衣 : しゃらん、と背筋を伸ばして立ったまま。

[メイン] ぱん : 「いやぁ、本当に幸運でしたよ
 普段のボクはもう、本当に不幸続きで……ふぎゃんっ!!」

[メイン] ぱん : 木の根っこにこけてしまう。

[メイン] 船見 結衣 : 「…………」

[メイン] 船見 結衣 : その様子に目をやり、ぱっ、とぱんの方に飛び移る。

[メイン] 船見 結衣 : 「……大丈夫?今ので……あなた、怪我とかしてない?」

[メイン] ぱん : 「いったぁぁ~~~~……!?くぅぅ……やっぱ不幸だぁ……
 ……いやぁ、違うかぁ、今のはボクの不注意かなぁ……」

[メイン] ぱん : なんとも言えぬ悲しげな表情を見せながら、野良猫の方を見やり。

[メイン] 船見 結衣 : そのまま、手をちょこん、とぱんの方に向けつつ。

[メイン] ぱん : 「あ、す、すみません……!ほんの少し転んだだけで……
 ……えへへ、優しい猫さんですね」

[メイン] 船見 結衣 : 声色は変わらず、平たんなのものではあるが。
顔は心配げにぱんに覗きこむ。

[メイン] ぱん : 「あなたのお名前は?」
小首を傾げながら。

[メイン] 船見 結衣 : ……確かに、木の根っこに躓いて転ぶのは珍しい。
これは”不幸”とも言えるかもしれない。
……なんだか、目を放せないな。

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……ふな……結衣」

[メイン] ぱん : 「結衣さん!とてもいいお名前ですね!」
ぱたぱたと尻尾を振りながら。

[メイン] 船見 結衣 : ”船見”という苗字は、言わなかった。
未練の名前ではあるから。

[メイン] ぱん : 「ここで会ったのも何かの幸運でしょう!きっとそうに違いないです!
 ……そうであってほしいなぁ~……」
何故か段々とテンションが下がっていきながらも。

[メイン] ぱん : 「一緒に、少し歩いていきませんか?
 ……あ!駆けっことかどうです?ボク、好きなんですよ~」

[メイン] 船見 結衣 : 「……あなた、”ぱん”でいい?
 なんかすっごく、元気だよな……」

[メイン] ぱん : はい!と頷く。

[メイン] 船見 結衣 : 「かけっこは……いいかな……
 でもまぁ、一緒に歩くのはやぶさかじゃない
 私も久しぶりに他の獣と話したし」

[メイン] ぱん : 「……あはは、と言ってもボク、さっきみたいにちょっと
 よく色々不幸なことが起こりまくってて……」

[メイン] 船見 結衣 : 耳を、ぴょこり、と動かす。
楽しみにしている様子にも見える。

[メイン] ぱん : 「やった!じゃあやりましょうやりましょう!」

[メイン] ぱん : そうしてぱんは森を走っていく。
……途中、枝に引っかかりながら。

[メイン] 船見 結衣 : そのスピードにはやっ……!?と思っていたが、枝に躓くお陰で+-0。

[メイン] 船見 結衣 : そこまで早いわけでもない結衣が、追いつけている結果となっている。

[メイン] 船見 結衣 : 「不運でもあり……ドジっ子でもあるような感じか?」

[メイン] ぱん : 「あ、あははは……」
へんにゃりと、哀愁漂う顔。

[メイン] 船見 結衣 : 時々躓くぱんに、仕方ないなぁ、と言ったように手助けをしながら。
自分はこの森に詳しそうで、慣れた手取りで進んでいく。

[メイン] 船見 結衣 : なんだか……ほっておけない。
……久しぶりに獣と話して、寂しかったわけでもない。
……少しくらいは、あるかもしれないけども。

[メイン] ぱん : そんなこんなで進んでいると─────。

[メイン] リオウ : 森の奥、そこには白い毛並みの狐が丸くなっていた。

[メイン] リオウ : 「む…?」

[メイン] リオウ : 足音に気づき、その音の方角に目を向ける。

[メイン] ぱん : ぴょこっ、と白い尻尾を止め。

[メイン] ぱん : 「おやっ……!休憩中でしたか!
 お騒がせして申し訳ありません……」

[メイン] ぱん : 一匹の狐と目が合い、申し訳なさそうに頭を下げる。

[メイン] 船見 結衣 : ん?と、その方向に首を傾けつつ。

[メイン] 船見 結衣 : 「何かしてた?……もしそうなら、邪魔して悪かったね」

[メイン] 船見 結衣 : 同じように、軽く頭を下げて。
耳をピンと立てたまま、ちらりと、狐に目をやる。

[メイン] リオウ : 「いや、構わんが…」
2匹の顔をそれぞれ見る。

[メイン] リオウ : 「ふむ。初めて見る顔だが、お前たちは私のことは知っているか?」

[メイン] ぱん : へんげ判定で知ってたりします?

[メイン] 語り手 : いいよ
難易度5

[メイン] ぱん : 1d0+2>= 【へんげ】判定

[メイン] ぱん : 🌈

[メイン] ぱん : 1d0+2>=5 【へんげ】判定 (1D0+2>=5) > 0[0]+2 > 2 > 失敗

[メイン] ぱん : 知りませんでした

[メイン] 船見 結衣 : 「……えっと、初めましてだよね?
 それとも、どこかで会った事ある?」

[メイン] 船見 結衣 : じぃ~っと、狐に目を細める。
こんな特徴的な狐なら、覚えていそうなものだけど……

[メイン] リオウ : 「お前たち、この町に住んでいるのに私のことを知らないのか…」
ハァとため息を漏らす。

[メイン] ぱん : ぽかーんとした馬鹿顔で見つめる。

[メイン] ぱん : 「すみません……いつも遊ぶことに夢中なものでして……
 あなたについて教えてもらっても良いでしょうか……!
 是非とも、お友達になれたら、きっと楽しいですし!」

[メイン] 船見 結衣 : ……この町に住むなら知ってて当然、みたいな態度……?!
えっ、誰なんだろうこの狐さん……

[メイン] ぱん : ぴょこぴょこと尻尾を振りながら。
ボクは、ぱんって言います!と自己紹介をし。

[メイン] 船見 結衣 : 「それに……そこまで言うなら、あなたのことが気になるしね
 知らないから、教えて欲しいんだけど」

[メイン] リオウ : 「私はリオウ」
「この辺りでは上位に入る力の強い変化であり、またこの町に住む変化たちのお目付役をやっている」

[メイン] 船見 結衣 : すたりと、木の根っこに座り込みつつ。
私は結衣だよ、と自己紹介を軽く。

[メイン] ぱん : わぁ、とっても偉い変化さんだった……!

[メイン] リオウ : そうだとっても偉いのだ!といった尊大な態度で。

[メイン] リオウ : 「ぱんに結衣か。私の名前を良く覚えておくように」

[メイン] ぱん : はい!と返事をし。

[メイン] ぱん : 「でもボク達はこれで、リオウさんのことを知れました
 というわけで……」

[メイン] ぱん : 「遊びましょう!」
ぱたぱたと尻尾を振りながら、馬鹿顔に。

[メイン] 船見 結衣 : ……本当に偉い立場の狐さんなんだ。
と内心驚きつつ。

[メイン] ぱん : とっても偉い方を知らなかったという不幸はあったけど。
でも知っちゃえばそれはもう、幸せ、だよね!

[メイン] 船見 結衣 : 中々濃い名前だから忘れることはなさそう……と思っている。

[メイン] リオウ : 「なんで私がお前のようながきんちょと遊ばねばならんのだ」
「そこまで暇ではないわ」
そう言って一蹴する。

[メイン] ぱん : 「あぁぁぁぁ……不幸だぁぁ……」

[メイン] 船見 結衣 : 「……ありゃりゃ、残念だったね、ぱん」

[メイン] ぱん : がっかりとした表情になる。
白い尻尾も垂れ下がる。
結衣にこくりと頷きながら。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの頭を慰めるように、撫でつつ。

[メイン] ぱん : くぅ~ん……と鳴き声が漏れる。

[メイン] 船見 結衣 : 「暇じゃないっていうなら、私たちももう行っていい?
 名前、しっかりと覚えたよ」

[メイン] 船見 結衣 : 座り込んだまま、じっとリオウを見つめつつ。

[メイン] ぱん : そうですね、結衣さんと一緒に遊ぶしかないですねー……。
と言いながら。

[メイン] リオウ : しっしと追い払おうとしたが、ふとなにかを思いついたような顔をして。

[メイン] リオウ : 「お前たち、ここであったのもなにかの縁だ。私の頼みを聞いてもらえないか?」

[メイン] ぱん : 「……?頼み、ですか?」
小首を傾げ。

[メイン] 船見 結衣 : ん……私か。……何か遊び教えられるかな……?

[メイン] 船見 結衣 : 立ち上がろうとした際、ちらり、とリオウに目が向く。

[メイン] リオウ : 聞く気があるようだなと2匹の顔をそれぞれ見て。

[メイン] リオウ : 「3ヵ月くらい前にこの町に遊びに来た変化から話を聞いたのだが…」

[メイン] リオウ : 「この町のどこかに''食べると幸せになるケーキ''というものがあるらしいのだが、お前たちは聞いたことがあるか?」

[メイン] ぱん : 「!!!!!」
ぴこん!と耳を立てる。

[メイン] ぱん : 「幸せに!!?!?!?」

[メイン] リオウ : コクリとぱんにうなずく。

[メイン] 船見 結衣 : 首を横に振る。町には出るが、変化の噂なんて耳にする機会なんてない。

[メイン] ぱん : 「無いです!すっごく気になります!是非とも聞かせてください!」

[メイン] ぱん : ぶんぶんぶん!と尻尾を勢いよく振る。

[メイン] 船見 結衣 : 「そっか、ぱんは……不幸なのが嫌だもんな」

[メイン] ぱん : 「はい……この不幸体質、どうにかしたいものですから……!」
こくりと頷き。

[メイン] 船見 結衣 : たった数刻会っただけでこけていたのだ、不幸を嘆くのも仕方ない。

[メイン] 船見 結衣 : そりゃあそうか、と思いつつ。
話の先を聞くように、ちらりと目をリオウに向けて。

[メイン] リオウ : 「乗り気のようだな。それなら続きを話そう」

[メイン] 語り手 : リオウは以下の情報を教えてくれます。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 語り手 : <幸せのケーキの噂>
・店は町内にある。
・人の姿に変化して聞き込みや捜索を行ったが、見つけることはできなかった。
・食べるとそれはもう天にも昇るような気持ちになるのだという。
・恋愛成就の効果があるという噂も。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] リオウ : 「私も食べてみたいから探してみたのだがよくわからん」

[メイン] リオウ : 「恋愛成就とかはどうでもいいのだが、天にも昇る気持ちと聞くと食べたくなるだろう」
そう言うとじゅるりと口元のヨダレを拭う。

[メイン] ぱん : 「ええ……!?とても偉い変化のリオウさんですら見つけられなかった!?」

[メイン] ぱん : そして、リオウの表情を見て、同じようにじゅるりと。

[メイン] ぱん : 「な、なんだかボクも、気になってきちゃいました……!
 結衣さん結衣さん!一緒に探しましょうよ!」

[メイン] ぱん : これでもかというくらいに尻尾を振りながら。

[メイン] 船見 結衣 : 天にも昇る食材……
……興味はないわけじゃない、……じゅるり。

[メイン] 船見 結衣 : 「あっ、んっ、そ、そうだね……」
一瞬頭の中がケーキに包まれていたのを考えつつ。

[メイン] 船見 結衣 : 「んっ、ぱんも気になってるみたいだし……うん、見つけてみよっか、そのケーキ」

[メイン] ぱん : はい!と元気よく返事。

[メイン] 船見 結衣 : せわしくなく振る尻尾に、くすり、と少し笑いつつ。
なんとなく頭を撫でてつつ。

[メイン] ぱん : 「リオウさん!その幸せのケーキ!必ずボク達が見つけてきます!」

[メイン] ぱん : くぅ~ん、と鳴き声を漏らしながら。

[メイン] リオウ : 「それは助かる。もし見つけたら一緒に遊んでやろう」

[メイン] ぱん : 「!!! わ~~~~~~い!!」

[メイン] ぱん : その場でぐるぐると回りながら……。

[メイン] ぱん : ぐえー。とまたコケるのであった。

[メイン] リオウ : その様子を見て、こいつに任せて大丈夫かと一抹の不安を抱く。

[メイン] 船見 結衣 : こけた彼に手を取りつつ、リオウに軽く挨拶を交わしながら。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんは一見、頼りないように見えても……元気な子だし、人の頼みをちゃんと聞いてあげる優しい子だ。
案外、お宝っていうのはこういう子が見つけたりするのかもね。

[メイン] 船見 結衣 : 手を引きながら、涼しげな森を出ていくのだった。

[メイン] 船見 結衣 :  

[夢] system : [ ぱん ] 夢 : 0 → 60

[メイン] system : [ 船見 結衣 ] 夢 : 0 → 60

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : 場面『恋が叶う?恋って……なーに?』 場所:街 時間:午前

[メイン] ぱん : そうしてぱんと結衣は、再び太陽の日差しの下に向かうことに。

[メイン] ぱん : とっても、暑い。

[メイン] ぱん : ああ、不幸だ……もう少し、涼しければいいのに……。
……でも、頑張らなくちゃだね!

[メイン] ぱん : それに、一緒に遊んでくれる結衣さんだっているんだから
だから、楽しんでいこう~!

[メイン] ぱん : そう思いながら、ぱんは─────。

[メイン] ぱん : ふしぎ4消費

[メイン] system : [ ぱん ] ふしぎ : 15 → 11

[メイン] ぱん : 「─────よっとっ!これで大丈夫そうかな?結衣さん」

[メイン] ぱん : 真っ白な長髪の、困り眉な少年へと変わる。

[メイン] ぱん : 首にはちゃんと、首輪もある。

[メイン] 船見 結衣 : しゃらん、と背を伸ばし、大きくなったぱんの方を見る。

[メイン] 船見 結衣 : 「ん、どこからどう見ても人間みたい
 カッコいいんじゃないかな、その恰好」

[メイン] 船見 結衣 : 人となっても、ぱんの元気そうな様子が変わってないのに、何だか面白いなぁ、と思いつつ。

[メイン] ぱん : えへへへ~、と困り眉で笑う少年。

[メイン] 船見 結衣 : 「……一人と一匹じゃ、流石に不自然かな」

[メイン] 船見 結衣 : ふしぎ4消費

[メイン] ぱん : 「うん!だから結衣さんも、ほら!」

[メイン] system : [ 船見 結衣 ] ふしぎ : 10 → 6

[メイン] 船見 結衣 : 「────よいしょ、これで…どう?」

[メイン] ぱん : 「おぉぉ~~~……!」
自分よりも少し背丈の高い少女になった結衣を見て。

[メイン] 船見 結衣 : するりと、パーカーを付けた、黒髪ショートの少女に、早変わり。

[メイン] ぱん : 「あれぇ!?結衣さんって、女の子だったんですね!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……え゛。
 男だと……思ってた?」

[メイン] ぱん : 「えっ!?あ、あーーーーーーー!いえいえいえいえ!
 なんでもありません!その、すっごく可愛いですよ!
 お目目とか……毛先とか、あと、服とか!」

[メイン] ぱん : 両手をぱたぱたと振りながら、困り眉で。

[メイン] 船見 結衣 : 萌袖を伸ばしつつ、ぱんの言葉に、眉が曲がった。
……そうか、男っぽいか。メスらしくあろうとしたわけじゃないが、謎の敗北感。

[メイン] ぱん : 「それに、うん、やっぱり!
 ちゃんと女の子してます!可愛いです!」
結衣のほっぺを勝手に、むにむにする。

[メイン] 船見 結衣 : 「か、かわい……ん、んっ……と、ともかく」
顔を少し赤らめつつ、こほん、と。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ひゃっ……?!」

[メイン] ぱん : 柔らかいです!と元気よく主張。

[メイン] 船見 結衣 : 咄嗟に触れられた頬に、やっと、女の子らしい声が上がる。

[メイン] ぱん : 「あっっ!?す、すみません……!」
ぺこぺことしながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぱぁ~ん~……?
 …………。ま、まぁいいけど……」

[メイン] 船見 結衣 : ぺこぺこと、子どもっぽく謝る様子に。
なんだか怒る気も失せて、ふふ、と笑いつつ。

[メイン] 船見 結衣 : 「まぁ……悪い気はしなかったよ……
 ……久しぶりに他の獣と触れたしね」
と返して。

[メイン] ぱん : 「! ……えへへへ~!」
人懐っこい、無邪気な笑顔を見せ。

[メイン] ぱん : 「それじゃあ……気を取り直して!
 調査、開始しちゃいましょー!おー!」

[メイン] ぱん : 拳を上げながら、元気よく歩き出す。
ずしん。電柱とぶつかる。

[メイン] 船見 結衣 : 「ん、おー……!」
合わせるように、萌袖を軽く挙げて。

[メイン] ぱん : 犬も歩けば、棒に当たる。

[メイン] 船見 結衣 : ……人になっても、不幸体質は変わらないのか。

[メイン] ぱん : ……そ、そんなわけで!二人の大冒険が始まりましたとさ!

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : 恋愛成就、という話が、リオウさんからありました。

[メイン] ぱん : ……うーん、ボクはまだ、そういうのしたことないけど。

[メイン] ぱん : でも、ボクのご主人様は、家族と一緒にいて、すっごく幸せそうにしてる。

[メイン] ぱん : ……一体、どんな気持ちなんだろうなぁ。

[メイン] ぱん : そんなことを思いながら、リオウさんがやっていたように
ぱんも聞き込み調査を開始した。

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : カップルに成り立ての人達に聞き込み調査します!
聞くことはずばり……幸せのケーキについて!
何判定でしょうか!

[メイン] 語り手 : おとなで
難易度5

[メイン] ぱん : 1d0+0>=5 【おとな】判定 (1D0+0>=5) > 0[0]+0 > 0 > 失敗

[メイン] ぱん : 弱点:ぶきようもあるので……想い6消費で、成功です!

[メイン] system : [ ぱん ] 想い : 15 → 9

[メイン] 語り手 : その辺を歩いているカップルから話を聞けますね

[メイン] 女性 : 「ボク、どうかした?」

[メイン] 男性 : 「うん?」

[メイン] ぱん : 「こんにちは!」
ぺこりと、困り眉ながらも元気よく頭を下げ。

[メイン] ぱん : 「実は……」
二人に、幸せのケーキについての噂話を聞いてみる。

[メイン] 船見 結衣 : こんにちは、とパーカーに手を入れたまま、挨拶。

[メイン] 男性 : 「おれは知らないけど、リカは知ってる?」

[メイン] 女性 : 「そうだなぁ…私も聞いたことないかなぁ」

[メイン] 女性 : 「…あ、でも」
パンと両手を合わせる。

[メイン] ぱん : そうですかぁ……とテンションが下がっていると。

[メイン] ぱん : 「……!」
目をパチパチとさせ。

[メイン] 船見 結衣 : まあ、噂程度だし……難しいのかな?
と思ったら……おや。

[メイン] 女性 : 「関係あるかはわからないけど、美味しいケーキ屋さんなら知ってるよ」

[メイン] 女性 : 「できたのは数年前だけど、最近美味しくなったんだよねー!」

[メイン] 男性 : 「へ~!」

[メイン] ぱん : 「ふむふむふむっ!ケーキ屋さん!」

[メイン] 船見 結衣 : 「へえ……ケーキ屋さんね」

[メイン] ぱん : 「確かに……ケーキのことなら、ケーキ屋さんに聞くのが一番!」

[メイン] ぱん : 「ちなみに、なんというケーキ屋さんでしょうか?」

[メイン] 女性 : 「ちょっと待ってね」
そう言うとスマホを取り出して操作を始める。

[メイン] 女性 : 「ここだよ」
スマホの地図アプリで店の場所を教えてくれる。

[メイン] ぱん : 「わ!ありがとうございます!ここですね!
 では早速行ってみたいと思います!
 お時間、ありがとうございましたー!」

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 語り手 : 店の名前は洋菓子店「パティスリー・アンジェ」
ここから歩きで15分ほどの駅前にあるお店
口コミサイトも見ることができる。お店が出来たのはここ2、3年の新しい店で特に評判がいいとも悪いとも言えなかったのだが、ここ2、3か月の間についた評価はどれも非常に高評価で、常連と思しき人の「以前から好きな味でずっと通っていたのですが、最近非常に腕を上げられました。いま一番オススメのお店です!」という言葉と共に★5の評価が踊っている。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 船見 結衣 : 目をぱちぱち、とさせた。
……この四角いの、なに?ええっと、この丸いのは……目的地、でいいのか……?

[メイン] 女性 : 「どういたしまして」

[メイン] ぱん : 「見てください結衣さんこれ、よくわかんないですけど
 急に美味しくなったということで……これは……!
 何か、"ふしぎ"な匂いを感じませんか……!?」

[メイン] 船見 結衣 : すぐさま理解したぱんを見つつ。
……すごいな、人と接してるからわかるのかな?

[メイン] ぱん : ぱんは飼い犬ということもあり、電子機器についての情報は
ある程度なら知っていた。

[メイン] ぱん : きょとん、とした様子の結衣を見て。あっ!と思い。

[メイン] ぱん : 「そうですよ結衣さん、ここです!ここに行けばオッケーです!」

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……そうだね、ここ最近で噂になってるなら……
 それこそ、食べた人が”幸せ”になったのかもしれない」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの解説に、ちょっと顔を赤らめつつ。
すぐこほん、と咳で誤魔化して。

[メイン] ぱん : 「じゃあ早速!行きましょー!」

[メイン] ぱん : こうして色んなところに行ったり来たりするのは、楽しい!

[メイン] 船見 結衣 : こくりと頷き、元気一杯で飛び出したぱんの後に、続く。
ぺこ、とカップルに頭を下げつつ。

[メイン] 船見 結衣 : ……さっきの人たち、仲よさそうだったな。
何だか……羨ましい、気持ちがないわけでもない。

[メイン] ぱん : そんな表情の結衣を見て、きょとん、と小首を傾げる。

[メイン] ぱん : 「……あ、なるほど!」

[メイン] ぱん : 結衣の手を掴み、目的地に歩いていく。

[メイン] 船見 結衣 : 「ふぁっ……!?え、な、どうしたの……!?」

[メイン] ぱん : 「? ああいえ!だって結衣さん、さっきのお二人を熱心に見てましたので
 あのお二人のように、手を繋いでみたいのかなー?……と!」

[メイン] 船見 結衣 : ぐいっと掴まれた手に、どきり。
……ぱんの手、暖かいな……。暑い日なんだけど、”温かい”。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぅ、そ、そういうこと……じゃない、けども」

[メイン] ぱん : 「うぇえっ!?ち、違いましたか!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……でも、これは……悪くない、かな
 うん、ありがと、ぱん」

[メイン] ぱん : 「! えへへへぇ~」

[メイン] 船見 結衣 : ぎゅっと、その手を握り返す。
……こうして触れ合うのは久しぶり。だから、少し……恥ずかしさがないわけでもない。

[メイン] 船見 結衣 : にこり、その様子にまた、笑みが零れつつ。

[メイン] 船見 結衣 : 「……さ、もうすぐだね」

[メイン] ぱん : 「そうですね!見えてきました!多分あの店が、ケーキ屋さんですね!」

[メイン] ぱん : くんくん、と鼻を動かす。
じゅるり、甘い香りが漂ってきた。

[メイン] ぱん : 「わぁぁ……!すっごく美味しそう……!
 結衣さん!早く行きましょう!早く!」

[メイン] ぱん : 結衣の手を引っ張り、ケーキ屋さんまで走って行く。

[メイン] 船見 結衣 : 「わわっ、ちょっ、元気すぎだってばっ……!」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの強引さに、そのまま手を引かれていく。

[メイン] 船見 結衣 : そして、ケーキ屋の中、二人一緒に着く。

[メイン] 語り手 : ■洋菓子店「パティスリー・アンジェ」
駅前にある洋菓子店。店にはイートインコーナーはなくテイクアウト専門店だが、平日の昼下がりにも関わらず何人かの人間がショーケースの前にかがみこんでケーキを選んでいる様子を見ると、繁盛しているというのは本当のようだ。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : カウンターの中を見ると、女性が1人立っていてにこやかに接客をしている。見たところ30代半ばから40代くらいの女性だ。

[メイン] ぱん : 「わぁぁ……!大人気……!」

[メイン] 船見 結衣 : 「すご……こんなに人が密集してる」

[メイン] ぱん : 「あ、結衣さん結衣さん!目的を忘れちゃいけませんよ!」
よだれを垂らしながら。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか」
あなた達を見て微笑みかけてくる。

[メイン] 船見 結衣 : 「っ、あ、ああそう……だね。
 あ、ええと……”幸せのケーキ”……みたいなのは、売ってますかね?」
ぱんにも負けず、涎がじゅるりと垂らしつつ。
ひよりの言葉に、顔を向け、そう答える。

[メイン] ぱん : わくわく!とした表情。

[メイン] 船見 結衣 : 噂にしか過ぎないかもだけど……直接聞いた方が、手っ取り早いし。
ケーキ屋ということで、何か知っているかも。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 結衣の言葉にニコリと微笑み

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「幸せのケーキは売っていませんが、当店のケーキはお召し上がりになるお客様全てを幸せにしますよ」

[メイン] ぱん : ばしっ!と手を上げる。

[メイン] ぱん :
 ・・・・・
「どうやって、幸せにできるケーキを作れるようになりましたか!」

[メイン] ぱん : これまた単刀直入に切り込む。

[メイン] ぱん : 評判が微妙だった時と、そして今。
この間で一体何があったのか?という質問だ。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : ぱんの質問に少し考え込むような表情を見せると

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「う~ん。それは企業秘密、かな」

[メイン] 船見 結衣 : ……うーん。にべもないか。
とはいえ……ここで引き下がるわけには、いかない。

[メイン] 船見 結衣 : 「……実は、私たちで一緒にケーキを作りたくて……
 でも、おいしくする方法がわかんないから、こうして聞いてみたかったんです」

[メイン] 船見 結衣 : 公にしませんから……!と、頭をぺこり、と下げて。

[メイン] 船見 結衣 : 判定はおとな判定……でいいかな?

[メイン] 語り手 : いいよ
難易度5

[メイン] 船見 結衣 : 1d0+3>=5 【おとな】判定 (1D0+3>=5) > 0[0]+3 > 3 > 失敗

[メイン] 船見 結衣 : ぱんが一緒にシーンにいるから…+2で成功だね

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 結衣が頭を下げたのを見て、観念したように口を開く。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「もう、仕方ないわね。どこにも出さないって約束してくださいね?」

[メイン] ぱん : 「やったー!ありがとうございますー!」
同じく頭を下げ、感謝を伝える。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 語り手 : <ひよりから聞ける情報>
・例の秘密の店に行ったのは確かに3か月前だ。その時に秘密のレシピを教えてもらった。
・店の名前や場所は教えられない。
・店で教えてもらったレシピも教える事は出来ない。ただお菓子ならなんにでも使える万能調味料みたいなものらしいということは教えてくれるだろう。
・店主の名前は「タジマ」さんだというがそれ以上の事は知らない。男性だった。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 船見 結衣 : ありがとうございます、と感謝を伝え。

[メイン] 船見 結衣 : 「……”タジマ”さんか……
 でも、ケーキに限らない調味料っていうのは、進展だね」

[メイン] ぱん : こくりと頷き。

[メイン] ぱん : 「でも……タジマさんっていう人なんて
 この街にいっぱいいますよ結衣さん……?」
困り眉で見上げて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……それは……確かに。
 大体、店の名前もわからないなら、特定しようもないな……」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの困り眉に合わせるように、むむ、と眉が曲がり。

[メイン] ぱん : 「店員さん!」
ばっ!と手を上げ。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「はい?」
ぱんの方に顔を向ける。

[メイン] ぱん : 「ボク達……幸せのケーキというものが一体どういうものなのか
 すぅ~~~っごく、知りたいんです!
 その、タジマさんという方がいたお店、教えてくれましたら……」

[メイン] ぱん : 「ボク達からも、店員さんに幸せのお裾分け
 どんな形であっても、やります!」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「…私は今でも幸せだから大丈夫よ」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「教えたいんだけど、実はね、私も場所がわからないのよ」

[メイン] 船見 結衣 : ……ぱん。……やっぱり、いい子だな……。
ちゃんとひよりさんの幸せを考えてるのか。

[メイン] ぱん : 「むむむ……それなら、どういう時に見つけたのか……
 小さなものでも良いので、是非……!どうか……!」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「私もお店を探していたら、たまたま見つけたの」

[メイン] ぱん : ぺこり!と頭を下げ。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「その時は女の子も一緒だったんだけど…あの子がいなかったら多分見つけられなかったと思うわ」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「本当に不思議な子だったわ…」

[メイン] 船見 結衣 : 同じく、ぺこり、と頭を下げる。

[メイン] ぱん : 「……女の子?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……女の子?」

[メイン] ぱん : 結衣と声が被る。

[メイン] 船見 結衣 : 被ってしまった。
ちょっとくすり、と笑いつつ。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「あなた達みたいな雰囲気の女の子だったかしら」

[メイン] ぱん : えへへ~……と、ぱんも小さく笑い。

[メイン] ぱん : 「ふむふむふむ……」
もしかして、変化……なのかな……?

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「私はお店へ入るための鍵は持っていたんだけどね」

[メイン] ぱん : 「鍵……鍵……!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……え、鍵って……あの……?」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「ええ、鍵よ。私はもう不要になったから娘の友達にあげちゃったけど」

[メイン] 船見 結衣 : 手で🔑を表現しようとする。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : そう、それよと結衣にうなずく。

[メイン] ぱん : 「むむむ……!?娘さんですか……!
 ……ちなみに店員さんの娘さんのお名前は?」

[メイン] 船見 結衣 : ホントに🔑なんだ……と内心思いつつ、ぱんの言葉に、こくこく、と頷く。

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「え…さすがにプライベートなことだから話せないかな」

[メイン] ぱん : 「うぅぅぅ~~~……!そこをどうかっ!
 ボク達、悪い人じゃないですから~……!!
 えっと、えっとえっと……ボク達は……」

[メイン] ぱん : うぅぅ、変化、だということは、人間さんに話しちゃいけないですし……。

[メイン] ぱん : 「と、とにかくっ!どんな小さな情報でも良いので!
 そのお店に纏わることが、知りたくて……
 ……みんなを幸せにさせられるなら、ボクも……そう、してみたくて」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「…わかったわ」

[メイン] 城ヶ崎 ひより : 「娘は桜麗高校に通ってるから、連絡しておくから訪ねてみて」

[メイン] ぱん : 「………!!」
ぱぁぁ、と顔を上げ。

[メイン] ぱん : 「ありがとうございます……!」
深く頭を下げる。

[メイン] 船見 結衣 : 「……!!!
 ……ありがとう、ございます……!」

[メイン] 船見 結衣 : こくり、と深く頭を下げて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……その、ぱん……ありがとう。
 あなたの思う、”幸せにしたい”っていう気持ちがなかったら、きっと……ダメだったと思うから」
と、小声で、ぱんに、伝えつつ。

[メイン] ぱん : 結衣の言葉に、嬉しそうにはにかみつつも、首を横に振り。

[メイン] 船見 結衣 : ……不幸にならないだけじゃなく。他人の幸せまで考えてた……なんて。
意外でもあったし、優しい子のぱんなら、考えそうでもあった。
いずれにしろ、それを口に出せてくれたのは……ぱんのおかげだ。

[メイン] ぱん : 「……結衣さんの、真面目さ、誠実さ、頑張り屋さんなところ
 そんな部分もあったからこそ、ボクも、やるぞー!って
 そう思えたんです」

[メイン] ぱん : 「ボクは、不幸でも、それでも……誰かと一緒にいる時間は
 楽しいって思えます、だから……ボクと一緒に
 こうして頑張ってくれる結衣さんには、感謝しかありません」

[メイン] ぱん : 困り眉で笑いながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……っ……」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの言葉に、口元を袖で隠しながら。
頬を少し、赤らめて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……そういうことを、平気で言うよね、ぱんは
 ……ありがと、私も……今、楽しいよ」

[メイン] ぱん : 結衣に、にっこりと笑う。

[メイン] ぱん : そして、ケーキ屋を後にする前に。

[メイン] ぱん : 店員さんの方を少し振り向き。

[メイン] ぱん : ─────ぴょこっ、と犬耳を見せ。
また、困り眉で笑いながら、結衣の手を引っ張り、どこかへと去っていくのであった。

[メイン] ぱん : 教えたくないことを教えてくれたのだから。

[メイン] ぱん : ─────こっちも、秘密を教えなくちゃ、ねっ!

[メイン] 城ヶ崎 ひより : その様子を見て少し驚いたような顔を見せたあと、微笑んで小さく手を振って去って行く2人を見送っていた。

[メイン] 語り手 :  

[雑談] system : [ ぱん ] 夢 : 60 → 130

[夢] system : [ 船見 結衣 ] 夢 : 60 → 120

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : 場面『ふしぎな鍵の在処』 場所:桜麗高校 時間:午後

[メイン] ぱん :  

[メイン] system : [ ぱん ] ふしぎ : 11 → 7

[メイン] system : [ 船見 結衣 ] ふしぎ : 6 → 2

[メイン] 語り手 : ■桜麗高校
この町に古くからある唯一の高等学校。今は夏休み期間中なので生徒はまばらである。

[メイン] ぱん : よーし!探すぞー!
元気よく、ぱんは高校の敷地内へと入り……。

[メイン] ぱん : ………?
待ち合わせ場所って、どこだろう!?

[メイン] ぱん : 「ゆ、結衣さん!?どうしよ~!?
 ボク達、そういえば……店員さんの娘さんのお友達のこと
 ……なーんにも、知らない~~~!?」

[メイン] ぱん : が~~~~~ん!と困り眉で、頭に手を当て、愕然とする。
そんな、ぱんの情けない声が校舎内に響く。

[メイン] 船見 結衣 : 「……た、確かに……ノープランで来ちゃってたね
 私たちのことは、向こうが伝えてくれてるはずだけど……」

[メイン] 船見 結衣 : パーカー少女と、白髪アルビノのような少年。
目立つ存在ではあるが、向こうが見つけてくれるかどうか。

[メイン] 船見 結衣 : むむむ、と、クールそうな顔の眉が下がる。

[メイン] 船見 結衣 : きょろきょろと、挙動不審にも、辺りを見回して。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 2人に忍び寄る一つの影。

[メイン] ぱん : 「わふぅっ!?」

[メイン] ぱん : しゅばっ!と身を翻し、現れた人影の方へ。

[メイン] 船見 結衣 : 「にゃっ…!?」

[メイン] 船見 結衣 : パーカーの猫耳が、不自然にもぴょこっと動く。
そして、人影の方に向いて。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : その様子を見て、あははと笑いながら。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「ご、ごめんね。お母さんが言っていたとおりでおかしくって」

[メイン] ぱん : 「!?!? ど、どうして笑うんですかー……!?
 ……で、でも、楽しそうなので、それはそれでいいかも?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……む、むうう……
 どういう伝え方したのさ……」

[メイン] ぱん : 困り眉で、表情のまま困惑しながらも。
まぁいいかシンキング。

[メイン] ぱん : 「というと……あなたがもしかして……?」

[メイン] 船見 結衣 : まんまだなんて。私も分かりやすかったのだろうか。と思いつつ。

[メイン] ぱん : 少女をじっと見上げ。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「だって、本当にワンコやニャンコみたいなんだもん…ぷ、くく…」
ツインテールを揺らしながら笑いを堪えている。

[メイン] ぱん : 「わふぅ!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「む、むぅう……にゃん」

[メイン] ぱん : ぱんの白いくせっ毛が、ぴょいん、と跳ねる。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「それで、あなた達だっけ?私に用があるのは」
息を整えて2人に尋ねる。

[メイン] ぱん : 「!! は、はい!!
 ずばり……幸せのケーキに纏わる、お店について!です!」

[メイン] ぱん : ばっ!と手を上げながら。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんに、こくこく、と頷いて。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「なるほどなるほど」

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「たしか鍵だっけ?それなら雪路が持ってると思うけど、今日は来てたっけなぁ?」

[メイン] ぱん : はい!それです!と頷きながら。

[メイン] 船見 結衣 : 鍵を持っていれば、その店に入れるのか……
ともかく、それが欲しいのは確か。

[メイン] 船見 結衣 : こくこく、と頷いて。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「ふむ。怪しい人たちだったら雪路には会わせたくなかったけど、あなた達なら大丈夫そうかな」
じろじろと2人を舐めるように見ながら。

[メイン] ぱん : 「はひっ!ボク達、悪い人じゃありませんっ!」
思わず直立しながらも。

[メイン] ぱん : ……怪しい、人間さんにとっての変化は……。
…………はいっ。

[メイン] 船見 結衣 : 「……う、うん……
 ……多分、あなたが見た通りのはず、だから……」

[メイン] 船見 結衣 : ポケットから手を出し、ちょっと礼儀正しくする。

[メイン] ぱん : それを見て、ハッ!と思い、ぱんも深々と頭を下げる。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 2人のその様子を見てニコリと微笑むと

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「おっけー。ちょっと待っててね」
そう言うと、スマホを取り出しどこかへ電話を。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「あ、雪路、今どこ?…あ、学校来てるんだ…わかった。うん、うん。それじゃ、また」
そう言って通話を終える。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「雪路学校にいるみたいだから、悪いけどついて来てくれる?」

[メイン] ぱん : 「! やったーー! ……ボクの不幸体質が悪さしなくて良かったです」
ホッ、と安堵に胸を撫で下ろし。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「あの子美術部でさ。今手を離せないみたいなんだよね」

[メイン] 船見 結衣 : ……流石に周りの人には影響ないんじゃ……?とは内心思いつつも。

[メイン] ぱん : 「むむ!お忙しいようなのですね!
 あまり邪魔はしてはいけないかもなので……
 お話は、すぐに終わらせるようにしましょう!」

[メイン] 船見 結衣 : 「美術……絵かぁ……何だか、面白そう……
 ……んん、そうだね、すぐ終わらせるようにしよっか」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんにこく、と頷く。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「それじゃこっちだよ」
2人を連れて美術室へ向かう。

[メイン] ぱん : はーい!と着いていく。

[メイン] 船見 結衣 : はぁい、と二人の後ろに。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 2人と適当に雑談しながら、3階の美術室に着いた。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : そしてガラリと扉を開け

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「ゆーきーじー!」
大声でその名前を呼ぶ。

[メイン] ぱん : 思わずその音量に、びくぅ!?と犬耳が生えそうになり。
慌ててそれを手で隠し、元に戻す。

[メイン] 船見 結衣 : さっ、とその声に慌てて猫耳フードを被り直す。

[メイン] 船見 結衣 : ちらり、と開いた扉の方へと目をやり。

[メイン] 羽柴 雪路 : 一人の少女が立ち上がり、3人の元へゆっくりと歩いてくる。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「かなか、騒がしいですよ」

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「やっほー!紹介するね、この子が雪路だよ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「なんですかいきなり…」

[メイン] 羽柴 雪路 : そう言うと2人の方に目を向ける。

[メイン] ぱん : 「初めまして!ボクは、ぱんと言います!」
ぺこりと御辞儀をする。背の小さな少年。

[メイン] ぱん : 困り眉ながら、えへへ、と人懐っこく笑う。

[メイン] 船見 結衣 : 「えっと……私は、結衣」
ぺこりと、それに並び頭を下げる。

[メイン] 船見 結衣 : 高めの背を持つ少女は、フードに手を突っ込みながら。
雪路の方を見やりつつ。

[メイン] ぱん : 「そのー、実は……雪路さんが、幸せのケーキを売っているお店の
 鍵を持っているとお聞きしまして……色々、お話を聞きたく!」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「これはご丁寧に。私は羽柴 雪路と申します」
ぺこりと丁寧にお辞儀をする。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「そうそう。鍵、お母さんがあげたやつ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「鍵…ああ、確かに私が所持していますね」

[メイン] ぱん : 「! 本当ですか!?ということは……お店の場所も、ご存知で……!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……!」
目を少し見開いて、雪路を見て。

[メイン] 羽柴 雪路 : ぱんの言葉に首を横に振る。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「いえ、まだ見つけていませんね」

[メイン] ぱん : 「むむ……まだ、ですか」

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「だよね。たまに一緒に探しに行くけど見つかんないよね」

[メイン] 船見 結衣 : 「……ん、二人も探してるんだ?
 でも、まだ見つかって……ないと」

[メイン] ぱん : 「─────ではでは!お店探し、ボク達にもお手伝いをさせてください!」

[メイン] ぱん : ばっ!と手を上げ、立候補する。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…お二人は鍵が必要なのでしょうか?」
ぱんの言葉を遮るように。

[メイン] 船見 結衣 : わっ、とぱんの声に、隣で驚きつつ。

[メイン] ぱん : 「!? は、はいっ、それが無いと、お店には入れないと聞きましたので…」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…そうなのですね。それなら鍵をお譲りしましょうか?」

[メイン] ぱん : 「えっ!?い、いいんですか……!?
 だって、雪路さんも探していたのでは……」
おろおろとしながら。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : そだよそだよーと横から言っている。

[メイン] 船見 結衣 : 「……それに、さっきであったばっかの私たちにそんな軽く渡しちゃっていいの?」
いや、もちろん渡してくれないと、私たちも困るんだけど。

[メイン] ぱん : うんうんうん!と結衣に同意するように頷く。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「少し未練はありますが、数ヶ月探しても見つからないということは、私とは縁がなかったのではないかと」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「それに必要としてくれる方に譲った方が有意義だと思いますからね」

[メイン] ぱん : 「……………」
眉をハの字にし。

[メイン] ぱん : 「………そんなことは、決してありませんよ」

[メイン] ぱん : 「だって─────ボク達が、こうして来たんですから」

[メイン] ぱん : 「見つからないという"不幸"は、確かにあると思います……ですが」

[メイン] ぱん : 「その"不幸"をどうか、ボクにお裾分けできませんか?
 ……必ず、雪路さんを、幸せにしてみせるので!」

[メイン] ぱん : つまりは─────お店を見つけることができたら。
二人にも、その場所を教える、という意だ。

[メイン] 船見 結衣 : 「……この子は、優しい子でね
 ”幸せ”にするケーキを、不幸な自分だけじゃなくて、周りの人たちにふりまいて、みんなを幸せにしようとしてる」

[メイン] 船見 結衣 : ぽん、とぱんの頭に手を置いて。

[メイン] ぱん : わふぅ~……と心地よさそうな顔になりながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「この子は、悪い子じゃない。”仲間”として、そう宣言するよ」

[メイン] 船見 結衣 : こんな顔する子が、悪いことなんてできそうにないしね。
と、くすり、とぱんの笑みに釣られ笑いつつ。

[メイン] ぱん : ……結衣さん……。

[メイン] 船見 結衣 : 「もし鍵を受け取らせてくれるなら────パーティでもしようよ。
 ほら、ケーキを食べるのにも、二人だけじゃつまんないでしょ?」

[メイン] ぱん : 困り眉で、照れて恥ずかしくなりながら。

[メイン] ぱん : その提案に、ぱんもにこりと笑う。

[メイン] 船見 結衣 : 二人にウィンクをして、ぱんに、優しく笑いながら。
猫耳フードが、軽く揺れつつ。

[メイン] ぱん : そしてその同意を求めるように、雪路とかなかの方へ見やる。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : どうすんのどうすんの?といった視線を雪路へ向ける。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「3対1ですか…仕方ありませんね」

[メイン] 羽柴 雪路 : ハァとため息を吐いて。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…鍵は自宅に置いてあります。帰り支度をするので少々待ってもらえますか?」

[メイン] ぱん : 「! はいっ!わかりました!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……!……ありがと、わかったよ」

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「良し!万事解決したみたいだから私は先に帰るよ!」

[メイン] ぱん : 「はい!お気をつけてください!」

[メイン] 船見 結衣 : 「ん、またね~」

[メイン] ぱん : かなかを見送るように、手をぱたぱたと振る。

[メイン] 船見 結衣 : 萌袖のまま、軽く手を振り。

[メイン] 城ヶ崎 かなか : 「またね~!2人とも雪路をよろしく!」
そう言うとバタバタと騒がしく走り去っていった。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…まったく、騒がしいんだから」
ほとほと呆れたといった表情をしながら帰り支度に取りかかる。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 語り手 : 場面『ヤ○ザの家』 場所:羽柴邸 時間:午後

[メイン] 語り手 : ■羽柴邸
雪路に連れられて向かった先は和風の豪邸だった。門の前には明らかにカタギではなさそうな男たちが数人タムロしており、彼女を見ると彼らは「お嬢お帰りなさい!」と口々に言い、彼女に礼をしている。

[メイン] system : [ ぱん ] ふしぎ : 7 → 3

[メイン] 羽柴 雪路 : 彼女はそれに軽く応えると貴方たちを屋敷の中へと促すだろう。

[メイン] ぱん : 「!?!?!? お、お邪魔しまーす……?」
な、なんだろう……?すっごく、猛々しいような……?

[メイン] 船見 結衣 : 「……!?」

[メイン] 船見 結衣 : そのあまりの猛々しさ、人が醸し出す庄に。

[メイン] system : [ 船見 結衣 ] ふしぎ : 2 → 0

[雑談] system : [ ぱん ] 夢 : 130 → 200

[メイン] 船見 結衣 : ぽふ、と猫耳フードの中に、猫耳が生える。
不完全なへんげとなったのだ。

[メイン] 船見 結衣 : ……あっ、や、やば。
ビックリしすぎて、ちょっと……これは、いけないかも。

[メイン] ぱん : ─────ぎゅっ。
結衣と手を繋ぐ。

[メイン] ぱん : そして、困り眉で、にこっ、と笑う。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぁ……ぱん……」

[メイン] ぱん : 《だいじょうぶ》

[メイン] system : [ ぱん ] ふしぎ : 3 → 0

[メイン] system : [ ぱん ] 夢 : 200 → 170

[メイン] 船見 結衣 : ……この耳がバレたら、どうなる?
猫耳が生える人間なんて、この世に存在しない。
もしバレたのなら捕まって────。

[メイン] 船見 結衣 : なんて、一瞬頭の中をよぎった考え。

[メイン] ぱん : 「結衣さんの"不幸"も、ボクが吸い取っちゃいますから」

[メイン] 船見 結衣 : それが、ぱんの手の温もりで、溶けていく。
……あったかいな、ほんと……ぱんは、優しいや。

[メイン] 船見 結衣 : 「……へへ、ちょっと……人が多くて、心細かったから
 ……ありがと、ぱん」

[メイン] 船見 結衣 : ぎゅううっ。街中で手を繋いだ時よりも、強く、強く、手を握って。

[メイン] ぱん : ……結衣さん、すごく面倒見が良くて、頼れる方で。
それでも、怖いものがあるのだから。
やっぱり、女の子な部分もあるんだな、って。

[メイン] ぱん : 可愛いな、と思うのでありました。

[メイン] ぱん : そうして雪路に案内され。

[メイン] 羽柴 雪路 : 2人のその様子を見ながら

[メイン] ぱん : 「……あっ!え、えっと、すっごく、大きいおうちですね……!」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「大丈夫ですよ、取って食べたりはしませんから」
冗談っぽく言う。

[メイン] ぱん : 屋敷内をきょろきょろと見渡しながら。
……ご主人様のおうちよりも、うん、すっごく大き……。

[メイン] ぱん : 「わふぅっ!?」
た、食べ!?

[メイン] 羽柴 雪路 : 「そうなのでしょうか?あまり他人様のお宅へは伺わないので」

[メイン] 船見 結衣 : 「……あ、う、うん……
 あはは、ちょっとびっくりしちゃっただけだから……」
とは言いつつも、ぱんの手を握ったまま。

[メイン] ぱん : 「む、むむむ……そう言われると、ボクもなんだか自信が……」

[メイン] 船見 結衣 : 「……言われてみれば、これくらいなのかな……?」
家に入った経験、ほぼナシ。

[メイン] ぱん : 「……あ!えっとえっとそれで確か……そうです!鍵です、鍵!」

[メイン] ぱん : 屋敷のインパクトにすっかり忘れかけたが、メインはそれだ。

[メイン] 船見 結衣 : 実際は集団の人に恐れているのがあるのだが、うまく隠せたようで。
ぱんに、こくりと頷く。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「そうでしたね。ここで少しお待ちください」
2人を座敷に通して、部屋から出て行く。

[メイン] 語り手 : 座敷の床の間には日本刀が飾られており、後ろには虎の屏風がかかっている。遠くからはししおどしの音がどこからか聞こえてくることだろう。

[メイン] ぱん : びくんっ!?

[メイン] ぱん : 鹿威しの音にビビるぱん。
犬耳がまたしても生えそうになるも、なんとかぐっと抑える。

[メイン] 船見 結衣 : ……虎!?か、刀……!?

[メイン] 船見 結衣 : きらり、と光る刃に、ぞくり、としつつ。

[メイン] ぱん : 「……な、なんだか、ドキドキしますね、結衣さん……」
冷や汗を垂らしつつ。

[メイン] 船見 結衣 : 「ほ、本当に……取って食われるかも……?」

[メイン] ぱん : 「!?」

[メイン] 船見 結衣 : 少し、体をぽんの近くに、ずりずりと近寄らせながら。

[メイン] ぱん : 「も、もし本当にそうなりましたら……!
 ボクが……!《みがわり》になりますから!」

[メイン] ぱん : 目をぎゅっと閉じ、結衣の手を強く握る。

[メイン] 船見 結衣 : 「んっ……ぱんは……そういう子だよね、……ありがと……」

[メイン] 船見 結衣 : 猫耳が、照れるのを表すように、しなだれつつ。

[メイン] ぱん : 「……えへへ、結衣さんも、怖い時はいつでも
 怖いって言っても、いいんですよ」
にこりと、優しく微笑みながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「んっ……」
恥ずかしげに、頬をぽりぽりと掻いて。

[メイン] 船見 結衣 : 「今も……大分怖いけど。
 ……これ以上があったら、ぱんに……頼るよ」

[メイン] 船見 結衣 : ……一匹狼ならぬ一匹猫を貫いてきたけど。
……こういう”仲間”も、いいな。……一緒にいるだけで、なんだか……”幸せ”になる。

[メイン] ぱん : 「……はいっ!ボクに、お任せください!」

[メイン] ぱん : 結衣さんの不幸を、ほんの少しでも幸せにできたら。
それはボクも、すっごく嬉しいことですから。

[メイン] 船見 結衣 : 「……今も十分頼っているんだけどね」
と零しつつ。ぎゅっと、ぱんの手を握り返して。

[メイン] ぱん : "不幸"の辛さは、ボクもよく分かってますし……。

[メイン] ぱん : 「……えへへ、結衣さんって、やっぱり意外と……甘えん坊?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……っ!?」

[メイン] ぱん : 「あっ、き、気を悪くしてしまわれたのであれば
 ご、ごめんなさいっ」

[メイン] 船見 結衣 : クールらしいような顔が崩れ、リンゴのように真っ赤に赤くする。

[メイン] 船見 結衣 : 言い返そうと口を動かし、もにょもにょ……と口が動いたが。
言葉が出なかったのか、目を伏せて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……猫は気まぐれだから、このくらい……いいでしょ」

[メイン] 船見 結衣 : ぼそり、と呟いて。
ぱんの体に、こてん、と体を寄せる。

[メイン] 船見 結衣 : ぴとり、と肩と肩がくっつくくらいまで。

[メイン] ぱん : 「わふんっ、そ、そうですね………!」

[メイン] ぱん : 「なのでボクも……甘えちゃいます!」

[メイン] ぱん : 同じように、頭を結衣の肩に乗せるようにして、リラックスモードに。

[メイン] 船見 結衣 : 「ひゃわっ……!?」

[メイン] 船見 結衣 : ち、ちか……!……こ、この子……こんなに、可愛かったんだっけ……!?
い、いや……そういう趣味はないけど……!

[メイン] ぱん : 《なつく》

[メイン] system : [ ぱん ] 夢 : 170 → 150

[メイン] 船見 結衣 : どきどき、としつつ。
ぱんの体をしっかりと、受け止めて。

[メイン] 船見 結衣 : 「…………」

[メイン] ぱん : 「♪~」
困り眉ながら、楽しそうに、鼻歌を唄いながら。

[メイン] 船見 結衣 : 《すりすり》

[メイン] ぱん : 「……わっ!」

[メイン] system : [ 船見 結衣 ] 夢 : 200 → 160

[メイン] 船見 結衣 : 甘えるように、頭を肩に、ごろごろと、摺り寄せる。
顔は恥ずかしげだが、それでも気持ちよさそうに。

[メイン] ぱん : 「………えへへ」
心が、ぽかぽかと。

[メイン] ぱん : あんなにも驚いていた鹿威しの音が
段々と、心地の良い音に聞こえてきて。

[メイン] 船見 結衣 : 刀も、虎も……今は怖くはない。
一緒にいてくれる仲間が、隣にはいるのだから。

[メイン] 羽柴 雪路 : ガラリと障子を開けて戻ってくる。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…お邪魔でしたでしょうか?」

[メイン] ぱん : 「!?!?」

[メイン] 羽柴 雪路 : その手には少し大ぶりの鍵が握られている。

[メイン] 船見 結衣 : 「にゃぁっ!?」

[メイン] ぱん : 思わず体が飛び跳ねながらも、姿勢を正し。

[メイン] ぱん : 「い、いえいえいえ!そんなことはありませんよ!」

[メイン] 船見 結衣 : ぴょんと、飛び跳ねて、猫耳がぴぃんと立ちつつも。

[メイン] ぱん : ぶんぶん!と首を激しく横に振り
そして視線は、鍵の方へと。

[メイン] ぱん : 「! それが……ケーキ屋さんの、鍵!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……こ、こほん。
 も、目的は……鍵だったから、大丈夫」

[メイン] 船見 結衣 : そしてぱんに、こくりと頷き。

[メイン] 太刀掛 : 「お嬢さん、その子らが友達ですか?」
雪路の後ろから長身の男が覗き込む。

[メイン] 太刀掛 : その男性は背が高く顔は悪くはないのだが人相も悪いいかにも…といった風体の男であった。

[メイン] ぱん : 「わふっ!は、初めまして!ぱんです!」
正座で、困り眉ながらも会釈。

[メイン] 船見 結衣 : 「にゃ……っ、……ど、どうも……」
その風貌に、一瞬目を見開くも、こくりと頭を下げて。

[メイン] 太刀掛 : 「これはご丁寧に」

[メイン] 太刀掛 : 「お嬢さんが友達を連れてくるのは珍しいからつい気になってしまって」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「太刀掛、呼んでもいないのに来ないでもらえませんか?」

[メイン] 太刀掛 : 「まあまあ、そう言わず…」

[メイン] 太刀掛 : 「親父の大切なお嬢さんなんだから、連れてきた相手が悪い虫だと、ね」
ニコリと2人の方を見ながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「いっ……いや!その……ぱんは、悪い子じゃないので!」
その視線から庇う様に前に出つつ。

[メイン] ぱん : 「キャインっ……!?」
ガタガタガタと震えるも。

[メイン] ぱん : 「……!ゆ、結衣さん!?あ、あわわわ!」

[メイン] ぱん : 「そ、そうです!結衣さんだって、悪い方ではありません!」
結衣の前に出て、大の字のポーズ。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「太刀掛!脅さないで下さい!」

[メイン] 船見 結衣 : 「ぱ、ぱん……」
庇うぱんに、ぎゅっと服の裾を握りつつ。

[メイン] 太刀掛 : 「はいはいっと。それじゃごゆっくり」
そういうと障子の向こうからそそくさと姿を消す。

[メイン] 羽柴 雪路 : ハァとため息を吐いて。

[メイン] ぱん : 男が去っていったのを見て、緊張がようやく解ける。

[メイン] ぱん : 「ふ、ふぅぅ……と、ととと、とても、怖い人でした……
 ……あのー、今の方は一体……?」
困り眉で、ちらりと夢路の方を見て。

[メイン] 船見 結衣 : ふう、と息を零しつつ。
ぱんに、うんうん、と頷く。

[メイン] 船見 結衣 : 「急に現れるもんだから……ビックリしたよ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「ごめんなさいね。彼は太刀掛という人で、うちの構成員…家族みたいな人です」

[メイン] ぱん : 「こうせい……?……あ、なるほど!ご家族の方でしたか!
 それではお兄さんですかね……?そうであれば、失礼な態度を
 取ってしまいました……申し訳ありません~……」

[メイン] ぱん : しょぼーんとした顔になる。

[メイン] 船見 結衣 : 「……とはいえ、向こうも目を付けてたから……おあいこな気もするけどね」
ぱんの頭をなでつつ。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「兄…まあそうですね。そんな感じです」
少し言葉を濁すように答える。

[メイン] ぱん : わふぅ~……と撫でられながら。

[メイン] 船見 結衣 : ……?なにか齟齬があるんだろうか。
と、首を傾げながら。

[メイン] ぱん : 「……わっとっと!えっとえっとそれで……
 鍵!は無事に見つかりましたので、あとは……」

[メイン] ぱん : 「……お店探し、ですか……」

[メイン] 船見 結衣 : 「……ん、そうだね」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「そうですね。学校でも話しましたが、数ヶ月探し続けても私には見つけることはできませんでした」

[メイン] 船見 結衣 : 二人が数か月探してもなかったものだ。
そう簡単に見つかる……わけではなさそうだけど。

[メイン] ぱん : 「……なるほど、分かりました」

[メイン] ぱん : 「では……責任持って、必ず!ボク達がお店を見つけてきます!
 ……どうか、良いお知らせを、お待ちしててください!雪路さん!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……うん、パーティの約束、したからね」

[メイン] 船見 結衣 : にこ、と薄く笑いかけて。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「ええ。わかりました。よろしくお願いしますね」
そう言ってアンティーク調の鍵を2人の前に置く。

[メイン] ぱん : 強く頷き、そして鍵を手に取る。

[メイン] 船見 結衣 : こくり、と頷いて。

[メイン] ぱん : ……ここで、なんだか引っかかるものがあった。

[メイン] ぱん : 雪路さん達は、長い長い時間を掛けても見つけられなくて
……リオウさんも同じく、長く探しているのに、見つからない。

[メイン] ぱん : 人であって、ボク達もののけであっても、見つからない。
それなのに、店員さんは見つけることができた。

[メイン] ぱん : ─────その違いって、なんだろう……?

[メイン] ぱん : ……………………。

[メイン] ぱん : ……………。

[メイン] ぱん : 「………あ」
雪路から鍵を受け取った時に、声が漏れる。

[メイン] 船見 結衣 : 「…………?」

[メイン] 船見 結衣 : 「どうしたの、ぱん?
 これから……探しにいくんじゃないの?」

[メイン] ぱん : 「………ううん」
首を横に振る。

[メイン] 船見 結衣 : 首を傾げ、ぱんに顔を向ける。

[メイン] ぱん : 「……あのね、結衣さん、多分……まだ、"足りない"んだと思う」

[メイン] ぱん : じっと、困り眉で結衣を見つめながら。
そして─────雪路にも、視線をやり。

[メイン] 船見 結衣 : 「……”足りない”」

[メイン] 船見 結衣 : ごくり、と息を呑み。

[メイン] 船見 結衣 : 「それじゃあ……この鍵を持ったとしても、まだその店を見つけることはできない、ってこと?」

[メイン] 船見 結衣 : 萌袖で、鍵を指さしながら。

[メイン] ぱん : 「………うん、だって……リオウさんならこの鍵、見つけたはずで
 それでも、お店が見つかっていない、そうだとしたら……」

[メイン] ぱん : 自分達よりも上位の存在であるリオウさえも、掴めない何かが、あって。

[メイン] ぱん : 「でも、店員さんは、簡単に見つけちゃったみたいで
 ……その違いって、結衣さん………ボク、思うことが、あって」

[メイン] ぱん : そして改めて、雪路をじっと見て。

[メイン] ぱん : 「……雪路さんは、こんなボク達に、鍵をお譲りしてくださった
 とっても、良い人です、だから─────一つ秘密を、雪路さんに明かします」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………」
こくり、とぱんにうなづいて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……!」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「はい?」
きょとんとぱんの方を見て。

[メイン] ぱん : ぴょこんっ。

[メイン] ぱん : 犬耳が生える。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…!?」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…えっ、犬の…耳!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………」

[メイン] 船見 結衣 : 猫耳フードをめくり、頭を露にする。

[メイン] ぱん : 「……秘密にしてて、ごめんなさいっ!
 そうです……ボクは、犬です!」

[メイン] 船見 結衣 : そこには────”猫耳”があった。

[メイン] ぱん : 雪路に頭を下げ、申し訳なさそうな顔を。

[メイン] 船見 結衣 : 「……そして、うん、私は猫なんだ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「ふぇ!?こっちは猫耳…!?」

[メイン] 船見 結衣 : こくり、とだましていたことに頭を下げて。

[メイン] 羽柴 雪路 : 目を白黒とさせる。

[メイン] ぱん : 「……信じられないかもですけど、実は……」
─────そうして、雪路にしっかりと伝える。

[メイン] ぱん : "変化"の存在を。

[メイン] ぱん : そして、困り眉ながらも、雪路の瞳を見て。

[メイン] ぱん : 「……店員さんが、幸せのケーキ屋さんを見つけることができたのは
 きっと……ボク達のような存在がいたから
 ……でも、ボク達"だけ"では、見つけることができないんです」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…えっと、一つ一つ確認しましょうか」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「まずはその耳は、本物なのでしょうか?」

[メイン] ぱん : ぴょこぴょこ、と動かす。

[メイン] 船見 結衣 : 「……触ってみる?」

[メイン] 船見 結衣 : ぴょこぴょこと、同様に動かして。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「え…?それじゃお言葉に甘えて…」
結衣の猫耳に優しく触れる。

[メイン] 船見 結衣 : 「……んっ、んん……!」

[メイン] 船見 結衣 : お、思ったよりも、これっ、こ、こそばい……!

[メイン] 船見 結衣 : ともあれ、雪路の手の中で耳を動かし。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「ごめんなさい!痛かった…?」

[メイン] 船見 結衣 : 「ううん、くすぐったかっただけ。
 でも……信じてくれる気になった?」

[メイン] ぱん : 結衣の表情におろおろとしながらも。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…はい。自分の身で体験したことは信じないといけませんから」
コクリと頷く、

[メイン] ぱん : 雪路に、困り眉でにっこりと笑う。

[メイン] 船見 結衣 : よかった、と薄く笑い。

[メイン] ぱん : 「……それで、ボク達と、そして……人間さんが一緒じゃないと
 もしかしたらそのお店は行くことができない……
 ……そう、思うんです」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…なるほど。そういうことでしたか」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「私がずっと探していても見つからないわけですね」

[メイン] ぱん : はい…と、頷き。

[メイン] ぱん : 「─────雪路さんは、そのケーキ屋さんを、何ヵ月も探してました」

[メイン] 船見 結衣 : リオウも、雪路も……
へんげと人間、その両方が探すことでその店は出会えた。
しかし────片方だけじゃ、ダメ、か。
……私一人だったら、リオウと同じ目にあってたな。

[メイン] ぱん : 「きっと……何か、叶えたいものがあったはずです
 ……もし、雪路さんが抱える、"不幸"があるのでしたら
 それは……ボクは、ううん、ボク達は、放っておくことは、できません」

[メイン] ぱん : 「ボク達変化と、そして人間さん
 一緒に、そのお店を見つけるパートナーとして
 ……雪路さん、ボクは、あなたじゃないと駄目だって、思うんです!」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「たしかに私には叶えたい願いがありました」
コクリと頷いて。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「でも、お店をずっと探しても見つからなくて、あなたたちが鍵を探しに来たことで、渡せば吹っ切れるかなとも思っていて」

[メイン] ぱん : 「……………」

[メイン] 船見 結衣 : フードのポケットに手を入れながら、じっと雪路の話を聞く。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「私はそれが不幸だとは思っていませんでした。そういう運命なんだって、受け入れるつもりで」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「でも、あなた達が希望を見せてくれて、もしかしたらって気持ちがふつふつと湧いてきてるんです」

[メイン] ぱん : 力強く、頷く。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「だから、私と一緒に、お店を探してもらってもよろしいですか?」

[メイン] ぱん : 「もちろんです!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……もちろん」

[メイン] ぱん : 「一緒に─────"幸せ"!掴んじゃいましょう!」
にっこりと、笑う。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…ありがとうございます」

[メイン] 船見 結衣 : 「私たちは───”仲間”、だからね」

[メイン] ぱん : 「わん!」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「はい。みんなで掴みましょう」
ニコリと2人に笑顔を向ける。

[メイン] 船見 結衣 : 「……にゃお」
ぴょこぴょこ、耳を動かし。

[メイン] ぱん : ─────幸せになりたいと願うことは、罪なんかじゃ、きっと無い。

[メイン] ぱん : ボク達変化は……困っている人の背中を、ほんの少しだけ押す存在。

[メイン] ぱん : ……そんな存在に、なれたかな?

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん :  

[メイン] 太刀掛 : 3人がお店を探し外へ出ようとしていた際に、太刀掛が声をかけてくる。

[メイン] 太刀掛 : 「お嬢さん、もう日が暮れるから外出はよした方がいいと思いますよ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「この2人がいるから大丈夫です」

[メイン] 太刀掛 : 「はぁ…」
2人の方を見る。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「そんなことより太刀掛!あとで話がありますから」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「逃げないで下さいね!」
自分にも言い聞かせるように。

[メイン] 太刀掛 : 「はぁ…」
その剣幕に少し気圧されながらもうなずく。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「それでは行ってきます」
2人を連れ、羽柴邸を出る。

[メイン] 太刀掛 : 「…おれ何かお嬢さんに悪いことしたかなぁ…?」
ポリポリと頭をかきながら、部屋の奥へ消えていった。

[メイン] 語り手 :  

[メイン] 船見 結衣 : ……人間なんて、仲間のうちに入らないと思ったんだけどね。

[メイン] 船見 結衣 : でも、こうして接するたびに思う。
人間は夢と希望、そして”幸せ”を願って生きている。
その明るさは、本能で動く獣には、少々、眩しい。

[メイン] 船見 結衣 : でも、だからこそ、その眩しさが……綺麗だ、って思える。

[メイン] 船見 結衣 : ……。

[メイン] 船見 結衣 : そう思えるようになったのは、まぁ。

[メイン] 船見 結衣 : 隣にいる、結衣よりも小さな背の少年の頭を、撫でて。

[メイン] 船見 結衣 : この子のおかげかもね。

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] ぱん : 場面『ふしぎなお店、どこかな?』 場所:街 時間:午後

[メイン] ぱん :  

[メイン] system : [ ぱん ] 夢 : 150 → 130

[雑談] system : [ ぱん ] 夢 : 130 → 280

[雑談] system : [ 船見 結衣 ] 夢 : 160 → 310

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : ─────そうしてぱん、結衣、そして……雪路は
ふしぎなお店を探すために、改めて街へ出ることに。

[メイン] ぱん : 3人はお店を見つけることができるのでしょうか?

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : へんげ判定で、幸せのケーキを売ってるお店を探します!

[メイン] 語り手 : わかった
難易度8で

[メイン] ぱん : 1d0+2>=8 【へんげ】判定 (1D0+2>=8) > 0[0]+2 > 2 > 失敗

[メイン] ぱん : うおー!夢を30消費です!

[メイン] system : [ ぱん ] 夢 : 280 → 250

[メイン] 語り手 : ぱんは町の建物の間に非常に細い路地があることに気付けるだろう。

[メイン] ぱん : すんすん、と鼻を動かすと……。

[メイン] 語り手 : その路地は奥に行くにつれて道幅は広くなっており、地面は石畳で、両側が普通の家であるにも関わらず生垣が奥まで続いていることが分かる。

[メイン] ぱん : ちらりと、隣に見えた、細い光。
……変化としての直観が、働く。

[メイン] ぱん : 「……!結衣さん!雪路さん!来てください!」

[メイン] ぱん : そうして、一匹の白い犬になり。

[メイン] ぱん : 細い路地を、たたたたっ!と走って行く。

[メイン] 船見 結衣 : 既に結衣は猫の姿となっており、先ほどまで細い路地を猫特有の体ですり抜けていたが。

[メイン] 船見 結衣 : 「……!えらいよ、ぱん
 そっちの方なんだね」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…!わかりました!」
ぱんと結衣の後を追って細い路地の中へ。

[メイン] ぱん : わんっ!と応えるように吠える。

[メイン] 船見 結衣 : 路地の上の塀を、すらりすらりと入っていく。

[メイン] ぱん : 途中、ぼてん、と転びながらも、進んで行き。

[メイン] 語り手 : この路地を進んでいくと奥に小さな店が見えてくる。それは竹藪の中にぽつんと佇んでおり、どことなく和洋折衷な雰囲気を持っている。

[メイン] ぱん : 「………!こんなところにお店があっただなんて……
 よく散歩に、この辺歩くことも多いのですが……し、知りませんでした!」
たんこぶができた状態の人の姿に戻り。

[メイン] ぱん : 小さなお店を見て、困り眉で、おぉぉ~……と見上げながら。

[メイン] 船見 結衣 : 塀を降り、普段のパーカー姿の少女へと変貌する。
そして、ぱんの言葉に見上げ。

[メイン] 船見 結衣 : 「地味なようで、存在感のあるような……
 絶妙に見つけにくそうなお店だね……ここ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…ここが、私が探していたお店…」

[メイン] 語り手 : 看板には「菓子専門店『タチバナ』」と書かれているのが分かるだろう。外にOPENの看板は立っているが木の扉は閉ざされている。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんもここら辺通った事あるのに、知らなかったんだ……
やっぱり、へんげの力は不思議だな……。

[メイン] ぱん : 「……とにかく、お邪魔してみましょう!」

[メイン] ぱん : てくてくと進み、扉を小さな手でノックする。

[メイン] 語り手 : ノックしても反応はありませんね。

[メイン] ぱん : 「…………ハッ!」

[メイン] ぱん : ぴこーん!と豆電球が光り、そして雪路の方を向く。

[メイン] ぱん : 「雪路さん!鍵を、ここに!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……あ、そっか」
ここに入るための……鍵。

[メイン] 船見 結衣 : こくりと頷き、同じく雪路に向いて。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…え?あ、そういうことですか」
2人の視線の意図を理解して扉の前に進む。

[メイン] 語り手 : 雪路が扉の前に立つと、扉はひとりでに開き中からふわりと甘い香りがすることだろう。

[メイン] 船見 結衣 : ……鍵を入れるんじゃないんだ。と内心思いつつ。

[メイン] ぱん : 「わっ………!?……こ、これは……なるほど……!
 ……リオウさんが見つけることができなかった理由は、これ……ですね!」

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……そうみたいだね
 へんげが見つけ、人が開く……その二つの条件がそろってないとダメだった、っていうぱんの考察、当たってたみたい」

[メイン] 船見 結衣 : お手柄だよ、とぱんの頭を撫でながら。
甘い香りに、すんすんと鼻を鳴らす。

[メイン] ぱん : わふぅ~ん……と気持ちよさそうな顔をしながらも
同じく、鼻をすんすんとさせる。

[メイン] ぱん : 「良い香りですね~……ボクもなんだか、お腹が減ってきちゃいました!
 結衣さんはどうですか?」

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……私もなんか、甘い物は久しく食べてなかったから……」

[メイン] ぱん : にっこりと笑い。

[メイン] 船見 結衣 : くう、とお腹を小さく鳴らす。

[メイン] ぱん : 「あ……ふふふ」

[メイン] 羽柴 雪路 : 2人の様子を微笑みながら眺めている。

[メイン] ぱん : 結衣の腹の音に、困り眉で小さく笑う。

[メイン] 船見 結衣 : 「……あ、っ……
 …………今の、ナシだから……」

[メイン] 船見 結衣 : 少し赤い顔で、ぱんに頬を膨れつつ。

[メイン] ぱん : 「えへへへ、だいじょーぶです!
 恥ずかしがることなんて、ありませんよ!」

[メイン] ぱん : 「遊びたい時は、遊びたい!って言う
 お腹が空いた時は、お腹が空いた!って言う
 そういう自由さ、気楽さがあることがきっと」

[メイン] ぱん : 「─────"幸せなこと"なんだと、ボクは思いますし!」
にこりと笑い、そして店へと足を向ける。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ん、んん……
 そういうもの、かな」

[メイン] 船見 結衣 : 恥ずかしげに頬を掻く。
けれどぱんの言葉にも頷きつつ、彼の後を追って入店する。

[メイン] 羽柴 雪路 : 2人のあとを追うように店内へ。

[メイン] 語り手 : 中に入るとそこはお菓子の洪水だった。壁の棚には古今東西の様々なお菓子がずらりと並び、店の中を甘い香りが満たしている。一つ一つのお菓子が存在を主張しているのに混じりあう香りは不思議と不快ではなく、貴方たちは幸せな気持ちになるだろう。

[メイン] ぱん : ふぉおおぉぉ~~~っ……!?と、目をキラキラと輝かせる。

[メイン] ぱん : そして、じゅるりと涎が垂れそうになる。
すっかり気分はリラックスモード、犬耳がぴょこりと映える。

[メイン] 船見 結衣 : 「おぉ……これは凄い……
 甘い、でも甘ったるくない……不思議な匂い」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「わぁ…すごい…」
様々なお菓子を見て感嘆の言葉を漏らす。

[メイン] 船見 結衣 : 無表情そうな顔の代弁をするように、彼女の猫耳と尻尾がせわしなく動きつつ。

[メイン] ぱん : あ、結衣さんも喜んでます!

[メイン] ぱん : えへへへ、これが幸せ……やっぱり、いいなぁ。

[メイン] ぱん : 「……おっとっとっと!目的を忘れてはいけませんねっ!
 雪路さん!店員さんがいないか確認しましょう!」

[メイン] ぱん : そうして、すみませーん!と店の奥に声を掛ける。

[メイン] 語り手 : ぱんが声をかけると、店の奥から男が出てくる。

[メイン] 田道間 守 : 男は貴方たちに向かって微笑むと「いらっしゃいませ、私の店へようこそ」と口を開くだろう。

[メイン] 船見 結衣 : ん、とそちらに顔を向け。
パーカーに手を入れたまま、店主にぺこり、と挨拶。

[メイン] ぱん : こんにちは!と元気よく頭を下げる。
がこんっ!とテーブルに頭をぶつけるも、へっちゃらな顔で、困り眉で笑いながら。

[メイン] ぱん : 「え、えっとっ……あなたが……タジマさん、でしょうか?」

[メイン] 羽柴 雪路 : ぺこりと男に丁寧にお辞儀をする。

[メイン] ぱん : おでこを手ですりすりしながら、現れた男性を見上げ。

[メイン] 田道間 守 : 「そうですね。私はタジマというものです」

[メイン] 船見 結衣 : もう……と、ぱんのおでこを撫でながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「へえ……なるほど。
 ”幸せになれるケーキ”の噂を聞いてここまで来たんだけど、それってここで売ってるもの……なのかな?」

[メイン] 田道間 守 : 「ああ、そちらをお求めでいらしたんですね。あれは私ではお出しできないんです。あれは作る人が大事ですから。どうやら外ではだいぶ誤解されてしまっているようですが」

[メイン] ぱん : 「ふむふむ……?それは一体……どういうことですか?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……レシピとかじゃなくて……作り手の気持ちが大事、みたいな?」

[メイン] 田道間 守 : 「私が教えられるのはレシピのみでして、作るのはお客様…ということになりますね」

[メイン] 羽柴 雪路 : ふんふんと説明を聞いている。

[メイン] ぱん : 「な、なるほど……!……むむ?ですが、えーと!
 作る人が大事というと……」

[メイン] ぱん : 「……も、もしかしてそのレシピって、すごく難しいんですか……!?」

[メイン] ぱん : 困り眉でわたわたとしながら。

[メイン] 船見 結衣 : ふむふむ……と話を聞いている。

[メイン] 田道間 守 : ぱんの質問に首を横に振る。

[メイン] 田道間 守 : 「難しくはないのですが、同じレシピでもできあがりは十人十色、その人次第ということですね」

[メイン] ぱん : 「………なるほど……つまり……」

[メイン] ぱん : ご主人様から、聞いたことがあります。

[メイン] ぱん : 料理を作る上で、大事なもの、それは─────。

[メイン] ぱん : 「心、でしょうか?」

[メイン] 田道間 守 : ぱんの言葉に笑顔でコクリと頷く。

[メイン] 船見 結衣 : 「…………なるほど」

[メイン] 船見 結衣 : 話には聞いたことがある。
作り手の気持ちや心で、その料理の味が変化する……とか。
とはいえ聞いたことがあるだけで、そんなものを作ったことはない。
他人に作る機会がなかったのだから。

[メイン] 船見 結衣 : 「……となったら……」
ちらり、とぱんを見て。

[メイン] ぱん : 「……」

[メイン] ぱん : こくりと、頷く。

[メイン] ぱん : ……幸せになりたい、そして……関わったみんなも、幸せにしたい。

[メイン] ぱん : この気持ちが……もし、叶うなら……。

[メイン] ぱん : そして、今度はちらりと雪路の方を向き。

[メイン] ぱん : 「……雪路さんにも、叶えたいものがあるんですもんね?」

[メイン] ぱん : 困り眉で微笑みながら。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…はい」
ぱんの瞳をまっすぐ見つめて、強くうなずく。

[メイン] 羽柴 雪路 : そして胸の前に両手を当てる。

[メイン] ぱん : それを見て、にこりと笑い。
今度は結衣の方を見て。

[メイン] ぱん : 「結衣さんは、どうでしょうか?」

[メイン] ぱん : 結衣さんの叶えたい願い、想い、気持ち。

[メイン] 船見 結衣 : ……私は……大した願いを抱えられてるわけじゃない。
他の二人ほど、夢や想いを持てるような存在じゃあ、ない。

[メイン] 船見 結衣 : 「……私は作らないかな」
と首を横に振った後。

[メイン] 船見 結衣 : 「ただ、まあ」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの肩に、ぽんと手を置き。

[メイン] ぱん : 「………!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……願いを込めるぱんのケーキ作り
 みんなの分まで作ってたら、一人じゃ大変になっちゃうよ?」

[メイン] ぱん : 「あっ……た、たしかに!?」

[メイン] ぱん : がびーん!という顔になる。

[メイン] 船見 結衣 : ふふっ、と笑い。

[メイン] 船見 結衣 : 「だからさ、えーっと……私の願いはぱんを手助けること、かな」

[メイン] 船見 結衣 : 頬をぽりぽり、と恥ずかしげに掻きながら。

[メイン] ぱん : 「うぇっ……!?ボ、ボクの……!?
 う、うぅぅ……」
恥ずかしそうに、顔を赤らめ、俯き。

[メイン] ぱん : 「……えへへ、ありがとうございます、結衣さん」
眉をハの字にし、にこりと笑いながら、結衣を見上げ、見つめる。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんが刃物で怪我しないかとか、気になっちゃうし。
……頑張ってる子を勝手に見捨てるなんて、出来ないでしょ。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ん」

[メイン] 船見 結衣 : その笑顔に、顔を赤くし、視線をずらす。
……やっぱりぱんって……その……。

[メイン] 船見 結衣 : 「……と、ともかく……!
 それぞれ、作るだけの願いはあった、ってこと…だよね!」

[メイン] ぱん : 「! そ、そうですね!……なので」
タジマさんを見上げ。

[メイン] ぱん : 「……レシピ、是非とも、教えてください!」

[メイン] 田道間 守 : 「わかりました。ただしひとつだけ約束をしてもらってもいいでしょうか?」
3人の顔をそれぞれ見つめる。

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……約束って?」

[メイン] 船見 結衣 : ちらりと、守を見つめて。

[メイン] ぱん : 「………」
店員さんの言葉を思い出す。

[メイン] 田道間 守 : 「決して他人にレシピのことを口外しないということを約束していただきます」

[メイン] ぱん : そして、こくりと頷く。

[メイン] 船見 結衣 : ああ…なるほど。
あの店員さんの教えられないって言ってたのは、レシピの難易度じゃなくて……
そもそも、”約束”だったのか。

[メイン] ぱん : ふしぎとは、神秘である。
それが秘密の存在であるからこそ、力を発揮する、とても繊細なもの。

[メイン] 田道間 守 : 「噂程度なら構わないのですが、誰でもというわけにはいきませんからね」

[メイン] ぱん : ……本当は、そのレシピがあれば、色んな人を幸せにすることができるかもしれないから
その約束は、守らなくちゃいけないけど、ちょっぴり残念で。

[メイン] ぱん : 「……そうですね、お願いを何でも叶えられるようになったら
 きっと、悪い方向に、人が動いちゃうことも……あるかもしれませんし」

[メイン] 田道間 守 : ぱんの言葉にニコリと微笑む。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんにこくり、と頷く。
願いと言うのは料理と同じように、繊細だ。
過程や結果も、どういった想いが込められたかで変化する。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…だからひよりおばさまも詳しくは教えてくれなかったのですね」
うんうんと一人うなずく。

[メイン] ぱん : 「……分かりました、そのお約束、守ります!」

[メイン] ぱん : ふんすっ!と鼻息を漏らしながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「うん……私も、教えるつもりはないよ」

[メイン] 船見 結衣 : こくり、と頷き、約束に同意する。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「わかりました。口外しません」
2人と同じようにうなずく。

[メイン] 田道間 守 : 3人の言葉に嘘はないと判断したのか、ニコリと微笑んで

[メイン] 田道間 守 : 「ではお教えしましょう。こちらへどうぞ」
3人を店の奥へ来るようにと促す。

[メイン] ぱん : はいっ!と尻尾をぱたぱたと振りながら、着いていく。

[メイン] 船見 結衣 : こくりと頷き。
ぱんと共に作れることが嬉しいのか、耳をぴょこぴょこと動かしつつ。

[メイン] 羽柴 雪路 : 期待半分不安半分といった表情をしながらもタジマについて行く。

[メイン] 語り手 : 店の奥は料理教室でよく見るようなキッチンになっていた。タジマは貴方たちをそこへ導きいれると貴方たちへ一枚の紙とエプロンを渡してくる。

[メイン] ぱん : 「この紙は……?」
エプロンに、よいしょ、よいしょ、と着替えながら。

[メイン] 田道間 守 : 「あなた達にはこちらを、そしてあなたにはこちらですね」
ぱんと結衣にショートケーキのレシピを、雪路にモンブランのレシピを手渡す。

[メイン] 船見 結衣 : 「ふむふむ……?」
エプロンを、パーカーの上から着ながら。
紙をぱんの後ろから覗き込む。

[メイン] ぱん : 「おぉぉ……!これは、ショートケーキ!
 ご主人様が食べていたのを見ました!
 結衣さんはこれ、知ってますか!?すごく美味しそうなんですよ!」

[メイン] ぱん : わくわくとした表情で結衣を見やりながら。

[メイン] 田道間 守 : 「先ほど言っていたレシピですね。こちらが良さそうと勝手に判断させて頂きました」

[メイン] 船見 結衣 : 首を横に振る。

[メイン] 船見 結衣 : 「見たことも食べたこともないや……
 ……でも、ぱんが美味しそうっていうなら、期待できるね」

[メイン] ぱん : 「ありがとうございます!より頑張ろうって思いました!」

[メイン] ぱん : 「えへへ!はい!あ、せっかくなので……
 一緒に作りましょう!結衣さん!」

[メイン] 船見 結衣 : ぺこっと、守に感謝を伝えて。

[メイン] 船見 結衣 : 「んっ……見たことないけど……
 まあ、なんとかなるか。」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「私はモンブランのレシピですね。そういえば太刀掛が前に…」

[メイン] 羽柴 雪路 : 少し顔が赤くなりブンブンと首を振る。

[メイン] 船見 結衣 : 包丁を持つぱんの手に、手を添えつつ。

[メイン] 船見 結衣 : ……前に?
その続きって……なんだろ。

[メイン] ぱん : 雪路の反応に、きょとん?とした顔をしながらも。

[メイン] 船見 結衣 : 首を傾げつつも、首を振ったので言及することもなく。

[メイン] ぱん : 「ああ!そうですね!"家族"への贈り物にするのですね!
 それはじゃあ、いっぱい頑張らないとですよ!」

[メイン] ぱん : ガッツポーズを見せ、にっこりと笑いながら。
結衣と一緒に、ショートケーキ作りの準備に取り掛かろうとする。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「そ、そうです。そうです」
ちょっとしどろもどろになりながらも、レシピに書かれた材料を準備していく。

[メイン] ぱん : えっとえっと……ショートケーキは……ふむふむ!

[メイン] ぱん : こうやって作るんですね!
……うぅぅ、不幸が無ければ良いのですが……。

[メイン] ぱん : そうして、レシピ通りに、結衣と一緒に作り─────。

[メイン] ぱん : 砂糖と塩を間違えそうになる。

[メイン] 船見 結衣 : それ……塩じゃない?

[メイン] 船見 結衣 : 時々、こんな風に起きるぱんの不運をサポートしつつ。

[メイン] ぱん : わ、あ、危ない危ない……!

[メイン] ぱん : 結衣さんのフォローが無くちゃ、台無しになってたところでした!
えへへ……ありがとうございます、結衣さん。

[メイン] 羽柴 雪路 : 2人の様子を時折見ながらも、大丈夫そうなので自分の方に集中する。

[メイン] ぱん : ……二人の力で、"幸せなケーキ"を……完成させるんだ!

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : 1d0+3>=2 【こども】判定 (1D0+3>=2) > 0[0]+3 > 3 > 成功

[メイン] 船見 結衣 : 1d0+3>=2 【おとな】判定 (1D0+3>=2) > 0[0]+3 > 3 > 成功

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : ─────そうして……すっごく、立派なショートケーキが、完成しました!

[メイン] ぱん : 「や、やりましたね!?結衣さん!!」

[メイン] 船見 結衣 : 「う、うん……!これは、手本と見比べても……ううん、こっちの方が美味しそう……!」

[メイン] 船見 結衣 : レシピに張ってあった写真と見比べて。
自分たちで作った甲斐もあってか、凄く美味しそうに見える。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…これで、良し!」
2人に少し遅れて、モンブランを完成させる。

[メイン] ぱん : 結衣さんと二人で完成させたお菓子の出来栄えに
嬉しさを隠し切れない表情でいながらも。

[メイン] ぱん : 雪路がモンブランを完成させたのを見て。

[メイン] ぱん : 「わ!雪路さんのモンブランも、すっごく素敵ですね!」

[メイン] 船見 結衣 : 頬についたホイップクリームをそのままにしながら。
ちらり、と雪路に目が付く。

[メイン] ぱん : 「なんと言いますかこう………"愛"があります!」

[メイン] 羽柴 雪路 : 「ありがとうございます。そちらのショートケーキもとても美味しそうです」

[メイン] ぱん : ちら、と見えた結衣のほっぺのクリームに、目をパチパチとさせ。

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……そっちも出来たんだ。
 ……いい出来じゃん、これをプレゼントされた方は嬉しいだろうね」

[メイン] ぱん : 「……ぷっ、ふふふ、結衣さん、可愛いほっぺになってますよー」

[メイン] 船見 結衣 : 薄く笑いつつ。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「…あ、愛だなんて…」
頬が赤く染まる。

[メイン] ぱん : 結衣のほっぺに、つんつん、と自分のほっぺを指差し、はにかみながらも。
雪路の、真っ赤に染まった顔を見ながら

[メイン] 船見 結衣 : 「へ、へっ……!?
 ……こ、これはっ……作るので夢中で……」

[メイン] 船見 結衣 : もごもごと顔を赤くしつつ、頬のクリームを手で拭き取って。

[メイン] ぱん : うんうんっ!一生懸命になるくらいに、頑張ったんですね……!
と雪路の努力に、感心と賞賛を心に持ちながら。

[メイン] ぱん : 「あ、勿体ないので、パクッ」

[メイン] ぱん : 結衣の指についたクリームを食べちゃうぱんであった。

[メイン] 船見 結衣 : 顔が赤い………へえ、汗をかくくらい頑張ったってことか。

[メイン] 船見 結衣 : と思えば、指が温かく。

[メイン] 船見 結衣 : 「……にゃっ!?!?」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんに自分の指が食われているのに対して、顔を、雪路と同じくらい赤くして。

[メイン] ぱん : 「ん~~~っ!美味しいクリームです!
 これ、結衣さんが頑張って作ったクリームですからね!」

[メイン] ぱん : 困り眉で、無邪気な笑顔を向けながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「にゃっ、にゃ、にゃあ…………
……っ、そ、それなら……いいんだけど……」

[メイン] 羽柴 雪路 : 2人の様子を微笑みながら眺めている。

[メイン] 船見 結衣 : そんな笑顔に叱る気にもなれず、満更でもなく。
吸われる指の感覚にこそばゆい顔をしていた。

[メイン] ぱん : そうして、ボク達の分と、そして……リオウさんに、店員さんに
かなかさんに、街で出会ったお二人に、ご主人様に
色んな人の分へ幸せを届けるために作ったケーキを綺麗に並べながら。

[メイン] ぱん : 「完成です!」

[メイン] 田道間 守 : それぞれのケーキが完成したのを見て、タジマが声をかけてくる。

[メイン] ぱん : 「あ、タジマさん!」

[メイン] 田道間 守 : 「さあ、最後の仕上げです。これをどうぞ」
そう言って小さな瓶に入った蜜のようなものを差し出してくる。

[メイン] ぱん : 「? それは……?」
受け取りつつ、小首を傾げ。

[メイン] 語り手 : それは光にかざすと虹色にきらめいているように思える不思議な蜜で、瓶を開けるといままで嗅いだことのないような甘い香りがする。

[メイン] 船見 結衣 : 瓶を、ぱんの後ろから覗き込んでいる。

[メイン] ぱん : くんくんくん……ほわああぁぁぁ~~~……!
す、すぅーーっごく、いい匂いがします……!!

[メイン] 船見 結衣 : 「んん……くぁ……いい匂い……
 これをかければ、その人の願いが叶う……そんなお菓子になるのかな……」

[メイン] 船見 結衣 : ぴょこぴょこと、耳と尻尾を揺らしながら。

[メイン] 田道間 守 : 「はい。それが魔法の隠し味です」
結衣にコクリと頷く。

[メイン] 田道間 守 : 「瓶を握ってこう強く思うんです、『あの人に届け幸せの魔法』。ああ、この『あの人』の部分はお好きな名前に置き換えていただいて結構ですよ」

[メイン] ぱん : 「……なるほど……!……では、ボクから……!」

[メイン] ぱん : こくりと頷きながら、並べられたケーキ達を見渡し
そして瓶を両手でしっかりと握る。
目を閉じ、心の中で─────。

[メイン] ぱん : ─────あの人に届け、幸せの魔法。

[メイン] ぱん : あの人にも、あの人に、あの人にも……

[メイン] ぱん : あの人にも!!

[メイン] ぱん : あ、それと、あの人も!!あの人にも!

[メイン] ぱん : 届け!!幸せの、魔法!!

[メイン] ぱん : 瓶の蜜を、ケーキに垂らしていく。

[メイン] 語り手 : 蜜をとろりと垂らすとそれはみるみるうちにお菓子の中に溶けていくことだろう。

[メイン] 船見 結衣 : 瓶を握り、ぱんが蜜をかけていくケーキ。
その中の一つ、なにもかけられていないケーキを見つめ。

[メイン] 船見 結衣 : 心の中で、こう想う。

[メイン] 船見 結衣 : ……不幸でいっぱいのぱんが、少しでも幸せになれますように。

[メイン] 船見 結衣 : これから生きていく中で、不幸に負けないくらいの、幸せが訪れますように。

[メイン] 船見 結衣 : ─────ぱんに届け、幸せの魔法。

[メイン] 船見 結衣 : そう思い、たらりと、瓶を傾けて。

[メイン] 羽柴 雪路 : 2人に続いて、自分も強く瓶を握り、瞼を閉じて願う。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「………」

[メイン] 羽柴 雪路 : ふぅと細く息を吐いて、瞼を開ける。

[メイン] 田道間 守 : それぞれ確認すると、満足したかのように微笑み

[メイン] 田道間 守 : 「さあこれで完成ですよ。それを持って、大切な人にプレゼントしてあげてください。あとその蜜はお持ち帰りください。瓶をうっかり割らない限り、ずっとお使いいただけますよ」

[メイン] 田道間 守 : そう言うと、貴方たちの作ったお菓子を包んで渡してくれる。瓶の中を見るなら先程使ったはずなのに全く量が減っていないことに気付けるだろう。

[メイン] ぱん : 「おぉぉ!?本当ですか!?す、すごい……!?」

[メイン] ぱん : ふぉぉぉ……と感嘆の声を漏らしながら、瓶を見つめる。
確かに、あんなにもいっぱいに使ったのに、まだ減ってない!

[メイン] 船見 結衣 : 「おお……すご……
 これもふしぎの力か……」

[メイン] ぱん : 「では……タジマさん!どうぞ!」

[メイン] ぱん : ケーキを一切れ、タジマへ渡す。

[メイン] 田道間 守 : 「…?」

[メイン] 船見 結衣 : 包んだお菓子を受け取り、びんをからん、と揺らしつつ。

[メイン] 田道間 守 : 「もしかして私に作ってくれたのですか?」

[メイン] ぱん : はい!と頷く。

[メイン] ぱん : 「みんなに幸せを送る、優しいタジマさんに
 ボクからも……もっと、もーっと幸せになってほしいという、心です!」

[メイン] 田道間 守 : 「これはどうもありがとうございます」
ニコリと微笑んでケーキを受け取る。

[メイン] ぱん : 人と変化が揃わないと来ることができない場所。
きっと、もしかしたら寂しい思いをしているかもしれないから。

[メイン] 田道間 守 : 「自分で作りはしますが、他人に作って貰うのは久しぶりですね」
そう言うとパクリと食べる。

[メイン] ぱん : だから、ほんの少しでも幸せと、そして感謝を。

[メイン] ぱん : 「えへへへ!ボクと結衣さんの、努力の結晶です!」

[メイン] 船見 結衣 : ……ぱんは本当、周りの人にやさしいんだから……。

[メイン] ぱん : ですよねっ!と結衣の方を見て、にこりと笑う。

[メイン] 田道間 守 : 「……なるほど。あなたたちの強い願いが伝わってきます」

[メイン] 船見 結衣 : 「んっ……ありがと」
ぱんの頭をなで、目線に、こくり、と頷いて。

[メイン] ぱん : わふぅ~ん…と心地良さそうに、目を細めながら。

[メイン] ぱん : 「……えへへへ」

[メイン] 田道間 守 : 「とても美味しかったです。ありがとうございました」

[メイン] ぱん : 「いえいえっ!タジマさんも、これからも頑張ってください!」

[メイン] 田道間 守 : 「ええ。私はあなた達のような人と変化が仲良くご来店するのを楽しみにしていますから」

[メイン] 船見 結衣 : 「ん……今日は押しかけてきたけど、教えてくれてありがとうね」
と、ぺこり、と守にも感謝の意を伝えて。

[メイン] ぱん : 心が、温かくなりながらも。
ケーキを綺麗にラッピングしつつ。

[メイン] 羽柴 雪路 : 「はい。私からもありがとうございました」
ぺこりと丁寧にお辞儀をする。

[メイン] ぱん : さらにその一切れを、雪路に二つ分渡す。
雪路と、そして……雪路さんの"家族"への分。

[メイン] ぱん : そして、にっこりと笑い、困り眉で。

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : 「雪路さんも、どうかお幸せに!」

[メイン] ぱん :  

[メイン] ぱん : ─────知らないながらも、その言葉を、送る。

[メイン] 羽柴 雪路 : 何も言わずにケーキを受け取り、ぱんに微笑みかける。

[メイン] 羽柴 雪路 : そして結衣の方にも視線を向け

[メイン] 羽柴 雪路 : 「お二人も、幸せに」

[メイン] 船見 結衣 : 「……っ。」

[メイン] ぱん : 「えへへへ!ありがとうございます!
 結衣さんと、いっぱい幸せになりたいと思います!」

[メイン] ぱん : 結衣に、無邪気な笑顔を向けながら。

[メイン] 船見 結衣 : 雪路がどういう意味で言ったのか、定かではない。
ただ、そういう括りでくくられるのは……なんというか。

[メイン] 船見 結衣 : 「に゛っ…にゃぁ!? ぱっ……ぱん!?」

[メイン] 船見 結衣 : ……は、恥ずかしいっ……!!
ぱんはその、仲間みたいなもので……!

[メイン] 船見 結衣 : もごもごと口を動かして。
もんにょりとした顔で、ぱんの笑顔を受ける。

[メイン] 船見 結衣 : ……全く、ズルいよ……もう。
こんな笑顔じゃ、全部の気力が抜けちゃうってば。

[メイン] 船見 結衣 : あはは、と笑い返して。

[メイン] 船見 結衣 : 甘いお菓子のパーティータイムは、これからが幕開けなのだ。

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 語り手 : 貴方たちはタジマに見送られ、作ったお菓子と魔法の小瓶を持って帰路に着く。

[メイン] 語り手 : 体からはまだあのふわふわとした甘い香りが漂っているような気がして幸せな気持ちになることだろう。

[メイン] 語り手 : 貴方たちが路地を出て振り返るとその路地はどこにもなく、ただ家と家の間に人の通れない僅かな隙間があるだけだ。

[メイン] 語り手 : 貴方たちは不思議な思いをしつつも、胸いっぱいの甘い気持ちを抱いて貴方の大切な人の元へと歩いて行くのかもしれない。

[メイン] 語り手 : ゆっくりと見上げた空は夕暮れに染まっていた。

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 :  

[メイン] 船見 結衣 : 陽が傾き、空は一面茜色に染まっていた。

[メイン] 船見 結衣 : ”ゆうぐれこやけ”の音楽が、古ぼけたスピーカーから流れている。
もっとも結衣には題名なんてわからないが。

[メイン] 船見 結衣 : そんな街中を通っていき、一つの公園にたどり着く。

[メイン] 船見 結衣 : 結衣が前から気になっていたところ。
しかし、街中に出る機会なんてなかったので、そのタイミングは後に後にとズレていたのだが。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ふぅ、よいしょっと」

[メイン] 船見 結衣 : ぽす、と公園の机の上にケーキを置き。
椅子に座り、隣にいた少年を手招きする。

[メイン] 船見 結衣 : 「……いいよね、ここ。
 今は人がいないけど……家族……子どもや、その親が遊んだあとがある」

[メイン] ぱん : わんっ!と声を出しながら、結衣の隣にちょこんと座る。

[メイン] ぱん : 足は地面につかず、ぶらぶらとさせながら、結衣に頷く。

[メイン] 船見 結衣 : 砂場に積み立てられた砂の城。
ぎい、ぎいと風で揺れるブランコ。

[メイン] ぱん : 「ですね~……お日様が沈んでいくあのお空
 どこか寂しくて、でも……どこか、あったかくて」

[メイン] ぱん : 「……でもボクは、あったかさの方が勝ってます!だって……」
横を向き、結衣に困り眉でにっこりと笑う。

[メイン] ぱん : 「結衣さんと、一緒にいる幸せで、いっぱいですから!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……っ……!」

[メイン] 船見 結衣 : その笑顔に、負けたよ、と言葉を零し。
軽く笑みをぱんへと向ける。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぱんはさ、ほんといい子だよね……
 全然……弱み見せないじゃん」

[メイン] 船見 結衣 : 「……私はね、ぱんとは……ちょっと違ったかも
 この夕焼けを見たら、少し……寂しくなる」

[メイン] ぱん : 「ふぇっ……!?そ、そうですかっ……!?
 ………むむ、なるほど……」

[メイン] 船見 結衣 : 笑みを見せた顔を、落ちて行く太陽に向けて。
ぱんからは黄昏る顔が見えることだろう。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぱんはさ、飼い主がいるんだっけ
 ぱんをいっぱい愛してくれる、人間」

[メイン] ぱん : はい!と頷く。

[メイン] ぱん : 「……時々、お注射に連れていって、痛い痛いさせてきますけど
 でも─────すっごく優しくて、大好きなご主人様がいます」
夕日に、ぱんの笑みが少し明るく灯されながら。

[メイン] ぱん : 「……そういえば、結衣さんは……お名前、教えてもらった時に
 言いかけた言葉がありましたけど……」

[メイン] ぱん : 「……結衣さんも、もしかして……飼い主さんが?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……よく覚えてたね」

[メイン] 船見 結衣 : 照らされる笑顔を、ぽんぽん、と撫でて。

[メイン] ぱん : あうあう…と声を漏らしながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「まさしく……そうだよ
 私は昔、”船見 結衣”だった」

[メイン] 船見 結衣 : 「船見家っていう所で飼われて……結衣って名前も、その時与えられた
 まさしく、家族みたいな一員として、仲間として飼われてたんだ」

[メイン] ぱん : 「……"船見"」

[メイン] ぱん : 目を、パチパチとさせ。
素敵な、お名前です。と微笑み。

[メイン] ぱん : そのまま、すすすっ、と結衣のすぐ隣に移動し、話の続きを聞こうとする。

[メイン] ぱん : 「……聞かせてください、結衣さんのこと
 もし、思い出したくない"不幸"があるなら……ごめんなさい
 無理は、しちゃだめです」

[メイン] 船見 結衣 : ……ん。と、素敵な名前と言われたことに、こく……と嬉しくなる。

[メイン] ぱん : 「……でも、ボクも、結衣さんのことが気になるんです
 すっごく優しくて……こんなボクの、面倒もいっぱい見てくれて
 それに、可愛くて……そんな結衣さんのことが、気になるんです」

[メイン] ぱん : じぃ、と結衣の瞳を見つめながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぅう、うぅう……!! 」

[メイン] 船見 結衣 : 「そ、そういう褒めるのは、ちょ、直接的すぎて……!う、うにゃぁ……」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの見つめる瞳に、袖で赤くなった顔を隠しながら。

[メイン] ぱん : 「わふんっ!?ご、ごめんなさい!
 気に障りましたら、謝ります!」
あわあわとしながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……気になるって言われるなら、そだね
 もう過ぎたことだし、なんとなく、ぱんに聞いてほしかったから」

[メイン] 船見 結衣 : へ、平気だから……と、萌袖を横に揺らしつつ。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぱん、私はね……
 捨てられたの、その飼い主に」

[メイン] ぱん : 「……………!」

[メイン] ぱん : 目を大きくし、不安げな表情に。

[メイン] 船見 結衣 : 「ある日目を覚ましたら、外にいた
 外で寝たのかな、と思って辺りを見回すけど……飼い主はいない」

[メイン] 船見 結衣 : 「不安になって、家に行ったら……
 その場所には誰もいなかった」

[メイン] ぱん : 「………………」

[メイン] ぱん : 結衣の手の甲の上に、自分の手を乗せながら、話を聞く。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの暖かさを、じんわりと感じながら、続ける。

[メイン] 船見 結衣 : 「そこから先は、辛かった」

[メイン] 船見 結衣 : 「当然だよね、餌を与えるだけだった猫が、急に狩りをして自足自給しないといけないんだから
 お腹は空いたし、家はないし、毛もボロボロ」

[メイン] ぱん : 黙ったまま、こくこくと頷く。

[メイン] 船見 結衣 : 「へんげだから、何とか生きてこれたけど……
 少なくとも、その時は……”不幸”、だったかもね」

[メイン] 船見 結衣 : 自虐するように、フッ、と笑う。

[メイン] 船見 結衣 : 「だから人は嫌いになった。獣は仲間で、それ以外は敵……なんて思ってたんだけどさ」

[メイン] 船見 結衣 : ぐるり、と公園を見渡す。
差し込む夕日は、まだらんらんと輝いていて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……それでもやっぱり、思うんだ……
 人間っていいな、って……家族っていいな、仲間っていいな……って」

[メイン] 船見 結衣 : はあ、と溜め息を零し。

[メイン] 船見 結衣 : 「……私は獣と人間、どっちつかずなのかもね……」

[メイン] ぱん : 「結衣さん」

[メイン] ぱん : 結衣の手を強く握り。

[メイン] 船見 結衣 : 「…………ぱん?」

[メイン] 船見 結衣 : ……あ……。

[メイン] ぱん : その目には、涙が滲んでいた。

[メイン] ぱん : そして、ぱんの頬を、つぅ、と一滴流れる。
それは、夕日の光で、きらきらと輝いていて。

[メイン] ぱん : 「………辛かったん、ですねっ……!」

[メイン] ぱん : ずびっ!と鼻水を啜りながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「へ、へっ………!?」

[メイン] ぱん : 「……ボクは、そんな結衣さんを……褒めますっ!!
 大切な人に見捨てられる不幸なんて、ボク……耐えられません
 でも、それでも……一人で生きようと頑張ってきた結衣さんをボクは……!」

[メイン] 船見 結衣 : 「……な、なんで、泣いてるのさ……ぱん……!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………」

[メイン] 船見 結衣 : ……褒める。

[メイン] ぱん : 「讃えます!よく頑張りましたって……いっぱい!
 いっぱい、いっぱい……!褒めます!!」
涙を、ぼろぼろと溢しながら。

[メイン] ぱん : 「……それに」

[メイン] 船見 結衣 : そんなこと、言われたこと……なかった。
周りには仲間なんていない、一人で生きていた……から。

[メイン] ぱん : 「……誰かがそばにいることに幸せを感じることは
 それは……罪なんかじゃ、ありません……!」

[メイン] 船見 結衣 : ……ぱん……。

[メイン] ぱん : 「……えへへ、いいじゃないですか、中途半端な存在で
 ボク達変化は、人でも、動物でもない
 元からそんな、中途半端な存在なんですから」
困り眉で、涙を滲ませながらにこりと笑い。

[メイン] ぱん : 「………結衣さん、ボクに、任せてください」

[メイン] ぱん : 「ご主人様は、とっても良い人です
 だから─────」

[メイン] 船見 結衣 : その言葉が、一人ぼっちだった結衣の心に染み込んでいく。
じんわりと、溶け込んでいく。

[メイン] ぱん : 結衣の手を、自分の両手で優しく包み。

[メイン] ぱん : 「─────一緒に、暮らしましょう」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………ぅ、にゃ……」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………!」

[メイン] 船見 結衣 : 顔を、ゆっくりと、見上げて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……そ、そんなこと……出来るわけ……っ」

[メイン] ぱん : 「できます!!!」

[メイン] 船見 結衣 : ……嘘だ。
本当は、私も────……

[メイン] ぱん : ずいっ!と顔を近づけ。

[メイン] 船見 結衣 : 「……っ!」

[メイン] ぱん : 「ボクを……信じてください!」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………ぱ、ん……」

[メイン] 船見 結衣 : その一歩近づいた顔には、きらりと光った涙。

[メイン] 船見 結衣 : ……私のために、こんなに、泣いてくれる子が、いたんだ。
見ず知らずだったのに、こんな────。

[メイン] 船見 結衣 : ふるふる、と手を震わせ、ぱんの体に、添えて。

[メイン] 船見 結衣 : 「…………わ、わたっ、しっ……」

[メイン] ぱん : 「…………はいっ!」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………一緒に……ぱんと一緒に、”幸せ”になって……いいの……?」

[メイン] 船見 結衣 : フードが顔を伏せたまま、ぎゅうう、とぱんの体を掴み。

[メイン] 船見 結衣 : 声は────震えている。
いつもの冷静さを残すようなものではなく、わなわな、と。

[メイン] ぱん : 夕日の光が、ぱんと、そして……結衣の顔に。

[メイン] ぱん : 「もちろんですっ!!」

[メイン] ぱん : 「"不幸"で良い人なんて……誰も、いませんから!!」

[メイン] ぱん : 「誰だって、"ゆるく"、"幸せ"に生きて、いいんです」
困り眉で、にこりと笑う。

[メイン] ぱん : 「もし"不幸"な人がいるなら……
 ……ボクが、吸い取っちゃいますから!」

[メイン] 船見 結衣 : 「…………!!!!」

[メイン] 船見 結衣 : ゆっくりと、顔を上げる。

[メイン] 船見 結衣 : 光で照らされた顔には────涙が、映っていた。

[メイン] 船見 結衣 : 「ぱっ……ぱ、ぱぁん……っ……!!!!」

[メイン] 船見 結衣 : そしてそのまま。

[メイン] 船見 結衣 : 《さみしがりや》

[メイン] 船見 結衣 : ぎゅっと、ぱんに抱き着く。

[メイン] ぱん : それを─────受け止める、優しく。

[メイン] ぱん : 《だいじょうぶ》

[メイン] 船見 結衣 : ぎゅううっと、体をぱんに寄せて。

[メイン] ぱん : 「えへへへ……いいんですよ、いっぱい泣いて……
 結衣さんが、不幸せじゃなくなるまで、ずっと……
 ボクは、ここにいますから」
背中を、優しく撫でながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ひ、ひっぐっ、うっ、ぅぁああ……!!
 ぱっ、ぱぁああん………っ……!!」

[メイン] 船見 結衣 : 「つらかったっ……さびしかった……!!!
 ずっと、ずっと、苦しかった……!!!」

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの服に、結衣の涙が染みついていく。

[メイン] 船見 結衣 : 結衣は孤独だった。
誰にもこの不幸を共有することなく、泣くことすらも出来ずに、ただ抱え込んでいた。

[メイン] 船見 結衣 : 感情の起伏も薄くなり、無表情が顔に付き。
まだ子どもであった結衣は、自らの感情の行き場をなくしていた。

[メイン] 船見 結衣 : ────しかし、今は違った。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぱんっ……ぱん……おねがい……ずっと、一緒に……いて……
 ……私から、離れないで…………」

[メイン] 船見 結衣 : ぐず、ずひ、と、鼻声を啜らせて。

[メイン] ぱん : 「はい………!離れませんよ……
 辛かったですね、結衣さん……
 本当に、よく頑張りました……」

[メイン] ぱん : 結衣のおでこに、自分のおでこを重ね
そして、すりすりとさせながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……んっ、うぁああ…………ぱんは、ほんと、っ……やさしい、ねっ……」

[メイン] 船見 結衣 : 涙ぐんだ顔を、ぱんのおでこで、ゆっくりと見上げて。

[メイン] 船見 結衣 : 離れない、と言う言葉にもう一度。
ぎゅうううっと、抱き締める。

[メイン] 船見 結衣 : 寂しくならないように。
居場所を求めるように、ずうっと。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ぱん、ぱん……さっきのこと、私も、行きたいの……
 あなたの、おうちに、ぱんと、一緒に……住みたい……っ」

[メイン] ぱん : こくりと頷き、そして、にこりと笑う。

[メイン] ぱん : 「─────はい!!」

[メイン] ぱん : 「一緒に、幸せになりましょう!」

[メイン] ぱん : ぱんの涙が、頬を伝いながらも。
幸せな笑顔が、橙色に染まっていた。

[メイン] 船見 結衣 : 「うぇ、えへへへ…………」

[メイン] 船見 結衣 : 無表情だった顔が、泣いたことにより、感情が崩れる。

[メイン] 船見 結衣 : にへらと、普段見せないような。
満面の笑みで笑いながら。

[メイン] 船見 結衣 : 「……お礼じゃ、ない、けど……さ」

[メイン] 船見 結衣 : 机の上にあった箱入りのケーキを、ぱんの頭に、ぽんとのせ。

[メイン] ぱん : 「……わふっ!?」

[メイン] 船見 結衣 : 「……これ、ぱんに……あげる」

[メイン] 船見 結衣 : 「……一緒に幸せになる、っていってくれたから……
 ……ぱんが、せめて……不幸にならないように、そう願って作ったの」

[メイン] ぱん : 「これは…………」
頭の上に乗せられたケーキを見つめながら
落とさないように、ケーキを手で取り。

[メイン] ぱん : 「………!!……えへへへ」

[メイン] ぱん : 「それならもう、結衣さんが叶えてくれましたね」

[メイン] ぱん : 「ボク─────今、すごく"幸せ"ですよ」
困り眉で、へにゃりと笑う。

[メイン] 船見 結衣 : 「────……!」

[メイン] 船見 結衣 : ぽふ、と。

[メイン] 船見 結衣 : ぱんの胸元に、顔を、とんと置いて。

[メイン] 船見 結衣 : 「……ほんと、ぱんには……叶わないよ……」

[メイン] ぱん : えへへへ、と無邪気に笑う。

[メイン] 船見 結衣 : へにゃり……と、笑う。

[メイン]   :  

[メイン]   : ─────夕焼け色の町は、二匹の変化を受容する。

[メイン]   : これは、ふしぎな存在、変化が織りなす。
あったかくて、ほのぼのとした物語。

[メイン]   : ……この街の、とある一匹の白い犬を飼っている家に。

[メイン]   : どうやら、茶トラ猫を一匹、飼うことになったらしく。

[メイン]   : これはまた、賑やかな日々が始まろうとしていた。

[メイン]   : 幸せは、伝播する。

[メイン] ぱん : あ!

[メイン] ぱん : あなたにも、これ、どうぞ!

[メイン] ぱん : ボクと、結衣さんの作ったケーキです!

[メイン] ぱん : 皆さんも、幸せな日々を!

[メイン] ぱん : ……あわわわ!ごめんなさい!ボク、ちょっと用事がありまして!

[メイン] ぱん : 早く行かないと、結衣さんに迷惑をかけてしまいます!

[メイン] ぱん : それでは、さようなら!またお会いしましょうね!

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] 語り手 : シャンやけこやけ

[メイン] 語り手 : し あ わ せ
甘いお菓子を召し上がれ

[メイン] 語り手 : おしまい。